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現政権色薄まる次期国防省人事=新大臣に民間人指名有力=次期司令官は年内就任か

2022年11月30日

ムシオ氏(中央)(TCU)
ムシオ氏(中央)(TCU)

 ルーラ次期大統領(労働者党・PT)は来週にも国防相と三軍の司令官を発表する予定だ。一部報道によると、国防相には第2期ルーラ政権で閣僚を務めたジョゼ・ムシオ・モンテイロ氏(74)が有力視されている。29日付現地紙、サイトが報じている。

 これはルーラ氏の側近がメディアの取材に応えて明らかになったものだ。同報道によれば、ルーラ氏は28日にジェラルド・アルキミン次期副大統領、政権移行作業統括担当のアロイージオ・メルカダンテ氏らと会議を行ったが、その場にはムシオ氏のほか、三軍の長老的存在である司令官のジュンイチ・サイトウ氏(空軍)、エンゾ・ペリ氏(陸軍)、ニヴァルド・ロサト氏(空軍)らが呼ばれていたという。
 この人事で注目されるのは、国防相が非軍人に戻ることだ。メルカダンテ氏が18日にその意向を明かしていたが、この日の会議で決定的になった。
 国防相就任が最有力視されているムシオ氏はブラジル労働党(PTB)所属で、同党がPT政権と連立していた2007~09年に渉外局長官(現在は廃止)を務めた。在任中に連邦会計検査院(TCU)判事に選出され、2020年末まで務めた。
 同氏に白羽の矢がたったのは、当初ルーラ氏が国防相就任を望んでいた元同相のネルソン・ジョビン氏が就任を断り、ムシオ氏を推薦したことにあった。ムシオ氏も当初は就任に難色を示し、元同相のアウド・レベロ氏を勧めた。だが、レベロ氏が現在所属する民主労働党(PDT)が承諾しなかったので、ムシオ氏に話が戻っていた。
 ルーラ氏側には、1999年の省創設以来、非軍人が務めてきた国防相人事を元の形に戻したいとの意向があった。同職に軍人が就任したのはテメル政権最終年の2018年で、ボルソナロ政権ではそれが強化された。とりわけ、大統領選挙時に現役陸軍大将のパウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相がボルソナロ氏の意向を汲んで、選挙システムへの不信を次々と申し出ていたことなどは物議も醸していた。
 ムシオ氏選出の決め手としては、同氏がルーラ政権と関係を持ちながらも、軍政支持政党の国家革新同盟(ARENA)や保守派の民主社会党(PSDB)に所属した経験があり、ボルソナロ大統領と仲が良いことがあげられている。
 また、軍司令官に関しては、PT政権時代の軍との関係に戻すことを望みながらも、ボルソナロ政権時代から大胆に変える意向もないといい、軍の推薦する、キャリアの長い人材を選ぶ意向だ。
 現時点で上がっている司令官候補は、陸軍がジュリオ・セーザル・デ・アルーダ氏やトマス・ミゲル・パイヴァ氏、海軍がアギアル・フレイレ氏やマルコス・サンパイオ・オルセン氏、空軍がマルセロ・カニッツ・ダマセノ氏などだ。
 大統領選の結果に不満を抱く人々は軍関連の施設の前で抗議行動を繰り返し、軍事介入まで求めて圧力をかけているの対し、三軍側としてはむしろ次期政権が指名する司令官への交代を年内に行いたいとの意向で応えている。


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