移行PECを上院に提出=2週間で両院可決を目指し=生活扶助は歳出上限枠外に

【既報関連】来年度予算案報告官のマルセロ・カストロ上議(民主運動)は28日、生活扶助支給額維持などに必要な「移行憲法補則案(PEC)」を上院に提出したと28、29日付現地紙、サイトが報じた。
移行PECは、来年度の生活扶助支給月額を600レアルで維持し、6歳未満の子供に150レアルの手当を加算という選挙公約実現に必要な経費を歳出上限枠外に置く事を可能にするものだ。生活扶助は現政権がアウシリオ・ブラジルと改名したが、またボルサ・ファミリアに戻る。
カストロ上議は同PECが12月10日までに両院を通過する事を望んでいる。来年度予算の年内承認には12月16日までの最終報告書提出が必要だからだ。換言すれば、同PECは遅くとも12月15日までの承認が不可欠だ。PEC承認には、議席数の5分の3以上の賛同が両院で2度ずつ必要となる。
同PECの叩き台は次期政権移行作業班が提出したものだが、生活扶助を歳出上限枠外に置く期間は4年間に変更された。だが、生活扶助支給額維持と子供手当支給のための経費1750億レアルを上限枠外に置く事と、予算外歳入は最大23億レアルを投資に当てる事は保たれている。
同PECが承認されれば、生活扶助関連の経費や大学が寄付などで得た金額、気候変動関連や社会環境関連のプロジェクト中、寄付で賄われる経費は基礎的収支の枠外となり、年度末の赤字額算出時も対象外とされる。
同PECが承認されれば、現政権が提出した予算案にあるアウシリオ・ブラジル用予算1050億レアルは、最低賃金の実質増調整や大衆薬局などのプログラムの見直しなどに使われる見込みだ。
生活扶助支給額の維持はボルソナロ氏の公約でもあり、移移行PECの主旨に反対する勢力は少ないと見られる。だが、財政バランスを崩す恐れがあると主張する議員も多く、承認される可能性が高いが、カストロ上議はPECがそのままの金額や内容で承認される事は稀との表現で、議会審議で内容が変わる可能性にも言及した。
また、PEC提出が予定より遅れた事は政局調整の難しさも示している。ルーラ氏は28日以降、両院議長に会うなど、政局調整に乗り出した。財務相指名が濃厚なフェルナンド・ハダジ氏も、経済関係の移行作業班との会合を予定している。