政権移行PEC、下院で2回目承認=枠外1450億レのまま=期間は1年に短縮化

下院は政権移行憲法補則法案(PEC)の審議を20、21日に行い、賛成多数で承認した。これで、ルーラ次期政権で懸案とされていた社会保障政策「ボルサ・ファミリア」の600レアル支給が少なくとも1年間は保証されることとなった。21日午後5時頃から2回目の基本文書審議が開始され、すぐに承認された。21、22日付現地紙、サイトが報じている。
20日の22時台に行われた同PECに関する1回目の投票は、308票で承認のところを331票の賛成を得た。反対は168票だった。
同PECの下院での審議で最も懸念されていたのは、歳出上限枠外支出の上限の1450億レアルが削られるのではないかということだった。上院では、原案の1750億レアル(生活扶助などの社会保障関連分のみ、全体では1980億レアル)が社会保障関連で1450億レアルに落とされたが、下院ではそれが1千億レアル、もしくはそれを割り込むのではないかと予想されていた。
だが、18日に最高裁のジウマール・メンデス判事がボルサ・ファミリアの支給に関し、「困窮している人たちに対する基本的な支出ゆえ、歳出上限の対象外にしてもよい」との判断を下した。これにより、歳出上限を理由にボルサ・ファミリアでの月額600レアルの支給維持に反対できなくなっていた。
下院での1回目の投票では1450億レアルは維持されたが、上院では2年間とされた有効期間は1年間に修正されている。
また、19日に最高裁で違憲との判断が出たことで、政権移行PECに組み込まれていた194億レアル分の「秘密予算」(報告官の裁量で払われる議員割当金)は維持できなくなった。従って、この金額は、議会が承認して払い出す個々の議員割当金と、連邦政府が分析して省庁に振り分ける予算とに2分して予算案に盛り込むよう修正の上、初回投票で承認されている。
もうひとつの変更点として、原案では歳出上限枠外としていた外国からの投資を、歳出上限枠の適用対象としたことがあげられる。
PECの有効期限は1年間に短縮されたが、上院で来年の8月までと変更された、歳出上限法に代わる健全な財政維持のための方策の原案提出期間はそのままで維持された。
また、予算に計上された税収を超える歳入の4%、最大で230億レアルを歳出上限枠外で教育や保健関連の投資に向ける件はそのまま認められた。連邦政府が社会統合基金(PIS)と公務員財政計画(Pasep)の未使用分を使用することも承認された。
加えて、気候変動に関する資金や連邦大学への協力費、公共建設事業に関する地方自治体から国への費用移管、2023年限定のガス保障費(アウシリオ・ガス)も歳出上限の適用から外れている。
下院はPECの本文を20日に承認し、修正動議の一部を21日に審議。21日午後からは2回目の投票が行われ、賛成331票、反対163票で承認された。