17世紀フランス王家からの時計破損=反民主主義的暴挙被害、徐々に判明

【既報関連】8日にブラジリアで起きた、ボルソナロ前大統領支持者による連邦議会や最高裁、大統領府への侵入・破壊行為による被害が少しずつ明らかにされているが、その中には、17世紀に作られ、フランスの宮廷(王家)からドン・ジョアン6世に贈られたという時計が含まれていたと9日付R7サイトなどが報じた。

ルーラ大統領の執務室もある大統領府3階に置かれていて破壊行為の被害に遭った時計は金のブロンズ製で、ルイ14世の宮廷家具氏のアンドレ・シャルル・ブールがデザインし、ルイ14世の時計職人だったバルタザール・マルティノが製造したものだ。この時計は、ドン・ジョアン6世が1808年にブラジルに持参した。
バルタザール・マルティノの作品で現存しているものは二つしかなく、今回破壊されたものを除いた一つはフランスのベルサイユ宮殿に展示されている。
大統領府の学芸員のディレクター、ロジェリオ・カルヴァーリョ氏によると、今回の暴挙で破壊されたものの多くは修復可能だが、バルタザール・マルティノの時計の修復は非常に困難だという。
カルヴァーリョ氏によると、今回の事件で破壊されたものの価値は計算不能だという。それは、各々の品にはその品だけが持つ歴史的な意味などがあるからだ。各々の品は当時の大統領がブラジル国民を代表して各国首脳と会った証であり、どのような国とどのような関係を築いてきたかを示す軌跡でもある。そういう意味で、大統領府はブラジルにとって最も重要な意味を持つ品物を保管している場所の一つといえる。
今回の破壊行為で被害を受けた品の中には、バルタザール・マルティノの時計やジュセリーノ・クビチェッキ元大統領が使っていた机、ディ・カヴァルカンテやブルーノ・ジオルジといった著名な画家の作品など、代用品を見つけるのが困難なものや歴史的な意味を持つものもある。
大統領府内にあって被害を受けた品の総額は850万レアルを下らないというが、修復が困難な品や損なわれた歴史の輪は金額では評価できない。10日に大統領府での被害状況を視察したマルガレテ・メネゼス文化相はバルタザール・マルティノの時計について訊かれ、修復が可能かは現時点では不明と答えている。