サンパウロ州=水害対策費消化せず12年=12~1月は24人が死亡

サンパウロ州防災局が1日、2022年12月1日~23年1月31日の同州内での水害による死者は24人に上ると発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
死者の内の6人は、12月にアララクアラ市で起きた乗用車が濁流にのまれて川に落ちた事件の犠牲者だ。また、サンパウロ市でもこの期間中に2人が亡くなった。内1人はバイクで走行中に濁流にのまれ、もう1人は倒れた塀の下敷きになった。オザスコ市では、濁流にのまれて2人、家屋倒壊で2人の計4人が死亡している。
モンテ・アルト市では濁流で流された乗用車に乗っていた人3人が亡くなり、ポルト・フェレイラ市でも水にさらわれた車の中にいた人が2人死亡した。
また、サンカルロスやカンピーナス、カラグアタツーバ、サンバルナルド・ド・カンポ、サントアンドレ、アララクアラ、インダイアツーバの各市でも死者が出ている。
この間に家を失った人は1千人を超え、5939人が退避を必要とした。負傷者も出ている。
防災局によると、この期間中に非常事態宣言を出した市は15に上るが、強い雨は2月に入ってからも続いており、ソロカバ市のように市全体が水浸しになったところもある。
なお、2日付G1サイトによると、サンパウロ州では2022年に17・2億レアルを水害対策に投じ、予算の消化率が近年で最高だったが、ここ12年間は州議会が承認した予算に計上された額を消化しないまま、年を越しているという。
強い雨による被害は高速道路を含む幹線道路の冠水や農耕地の冠水、土砂崩れ、家屋や塀の倒壊、停電など多岐にわたる。1日は、パラナ州クリチバ市とサンパウロ市を結ぶ国道116号線で冠水が起き、トラックや乗用車が立ち往生するなどの被害が報告された。
同州の財務・企画局によると、最近のデータで見る限り、水害対策費が予算を上回ったのは選挙年だった2010年のみで、2億60万レアルの予算に対し、2億8250万レアルを投じたという。
水害対策費の消化率がここ10年間以上で最高だった22年は、19・9億レアルの予算に対して172億レアルを支出。昨年の予算消化率は86%だったが、それでも、排水システムの整備や雨水を溜めておくための貯水池の維持と建設、地方自治体への水資源部門の資源移転などに投資されずに残った資金は2億7100万レアルに上っている。
タルシジオ・デ・フレイタス知事のスタッフは、昨年は水害対策費中、11・51億レアルが洪水対策に投じられたが、今年は洪水対策に12・13億レアルを投じる予定だと語っている。
また、防災局も、ここ4年間に投じられた水害予防費と橋や油圧はしご、治水施設の擁壁の復旧などの工事の経費は1億900万レアルに上るという文書を発行したが、サンパウロ総合大学環境エネルギー研究所のペドロ・ルイス・コルテス教授は、「自然災害の再発を避けるために予見された予算を全額使わないのは州政府による配慮の欠如であり、その結果は近年の災害増加に表れている」と評価している。