日系女性起業家シンポ開催=JICA、国際女性デー記念し

JICAブラジル事務所(江口雅之所長)は14日午後7時、国際女性デー(3月8日)を記念した「SDGs(持続可能な開発目標)ビジネスを通じて世界を変える:日系人女性起業家エンパワメントシンポジウム」を、サンパウロ市のホテル・ラディソン・パウリスタで開催した。ブラジルはもとよりパラグアイ、メキシコなどからも女性起業家らが参加した。オンライン会議アプリ「ZOOM」でも中継された。
シンポジウム冒頭では、小渕優子衆議院議員のビデオメッセージが紹介され、小渕議員は「ブラジルで活躍される日系人女性の皆様の活躍を日本から応援しています。今後またブラジルに訪問する機会がありましたら皆様とお会いし、日本に来られる時は私を訪ねていただけると嬉しいです」と語った。小渕議員は昨年末から年始にかけて来伯し、ルーラ大統領の就任式やサンパウロおよびパラナの日系社会との懇親会に出席した。

日本から来伯した宮崎桂JICA本部理事は、「今回のシンポジウムを通じて、ジェンダー平等やSDGsビジネスへの理解が深まり、ブラジルや中南米の未来を担う女性起業家や女性リーダーの皆さんに大きな勇気を与えられたらと思います。またJICAが長年連携している日系社会の女性の皆様が中南米やブラジルの社会でさらにご活躍いただけるようになることを願っています」と挨拶した。

シンポジウムでは日本から参加したエシカルジュエリーブランド「HASUNA」創設者、白木夏子さん(Founder&CEO)が基調講演を行った。同社では環境や社会貢献などに配慮した製品開発を行っている。
白木さんは学生時代、海外で鉱山労働に従事する人々の劣悪な生活環境を知り、日本で手にする美しいジュエリーが労働者の犠牲の上に成り立っていることに問題意識を持った。そこで採掘から製造までをより健全な方法で行うジュエリーブランドの立ち上げを志した。
白木さんはこれまでもインドやパキスタン、ペルー、ルワンダなど世界各地の採掘現場に足を運び、研磨作業の現場を自分の目で確かめ、使用する鉱石が人や環境に配慮したものであるかを使用基準の最優先事項としてきた。

起業した15年前には、エシカル(倫理的な)という言葉は一般的でなく、興味も持たれていなかった。しかし、今日では社会に流通するあらゆる商品が、生産現場から消費者の手に届くまでの経路を意識されるようになっている。「起業してから15年で気づいたことは、世界は私たちの手で変えられるということ」と、自身の歩みを振り返った。
同シンポジウムはJICA事業「J―WINGS」(JICA Women's Initiatives Nikkei for Goals of Sustainable Development:持続可能な開発のための日系女性の取り組み)が、女性のエンパワメント(本来の力を発揮する)とSDGsビジネスを通じてどのように世界へ変化をもたらすことができるかという点に焦点を当てて実施した。