ルーラ、中銀理事2人を指名へ=ハダジの推薦による人物=カンポス総裁との対立の中

ルーラ大統領(労働者党・PT)は中銀の理事にフェルナンド・ハダジ財相(PT)の推薦による人物2人を指名することを決めた。中銀の独立性と経済基本金利(Selic)の高さをめぐり、同銀のロベルト・カンポス・ネット総裁とのせめぎあいが展開される中での人事となる。22日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
ハダジ財相がルーラ大統領に勧めた2人とはロドルフォ・フローエス氏とロドリゴ・モンテイロ氏で、前者は通貨・金融政策部門の理事に、後者は監査部門の理事に推薦されている。
フローエス氏はバンク・オブ・アメリカでの勤務経験があり、財務省ナンバー2のガブリエル・ガリポロ氏が頭取を務めていたファトール銀行で経営審議会の委員を務めていた。市場ではエコノミストとしても知られている。他方、モンテイロ氏は中銀職員からのたたきあげだ。
両氏は、2月28日付で任期が切れているブルーノ・セーラ・フェルナンデス氏とパウロ・ソウザ氏の後任となる。
ルイ・コスタ官房長官(PT)の話によると、大統領はもう既にこの両氏の就任に関して了承済みで、中国での首脳会談が終わる4月1日以降に正式発表となる見込みだ。ルーラ氏はハダジ氏から紹介された後、2人にも会って、話も行っている。
今回の人事は、ルーラ大統領とカンポス・ネット中銀総裁が、中銀の運営をめぐって対立関係にある中で行われることになる。ルーラ氏は、13・75%で高止まりしているSelic(経済基本金利)に関し、「高金利のままでは経済は成長できない」と嫌い、批判を続けている。
だが、ルーラ氏の以前の任期なら可能だった大統領による中銀総裁更迭は、2021年に制定された「中銀の独立性」に関する法令によってできなくなっている。中銀の独立性は、市場でも国際的に支持されているものであり、ルーラ大統領が批判する言動を行うたびに市場が否定的な反応をするという事態が続いている。
だが、この法令でも大統領が理事を指名することは認められている。そのため、かねてから、ルーラ政権が中銀に影響を与えられるのは、理事が交代するタイミングだと見られていた。
今回の人事で特に注目されているのは、フローエス氏の存在だ。同氏が指名された通貨・金融政策部門はSelicを決める通貨政策委員会(Copom)をコーディネートする立場にあるためだ。また、入札事業を取りまとめる立場にもある。
この人事は、ルーラ氏の指名だけで決定するものではなく、上院の口頭試問(サバチーナ)を経て決まる。