マラニョン州=大雨や浸食で土地に亀裂=消滅しそうなブリチクプ市

マラニョン州ブリチクプ市で大雨後、長さ500メートル、深さ70メートルといった大きな土地の亀裂が起き、住民が避難を余儀なくされている上、町消滅の可能性も取り沙汰されていると3月19日付G1サイト(1)、3月27~29日付G1サイト(2)(3)(4)(5)などが報じた。

マラニョン州の州都サンルイスから415キロのブリチクプ市では3月19日、隣接するサンタルジア市(州都から294キロ)にかけての少なくとも5地区で発生した土砂崩れのため、両市合わせて36人が救助されるという事態が起きた。
この時は、サンタルジア市農村部にある堰が18日に決壊し、一家5人が濁流に直撃され、1人が死亡、3人が負傷、1人が行方不明になったりしたが、ブリチクプ市民にとってもっと頭が痛いのは市内各所にできた大きな亀裂だ。
消防によると、ここ数週間は土砂崩れなどのリスクが高い危険地域の住民の避難が進んでいたが、土砂崩れを伴ってできる大きな亀裂に家屋が飲み込まれる可能性がある地区が広がっている。
ブリチクプ市で次々に起きている土地の亀裂は、植生がまばらで土壌を保護しきれなくなった地域で起きる、「ヴォソロカ(引き裂かれた土地を意味するツピ-グアラニ語)」と呼ばれる地質学的な現象だ。ヴォソロカが起きると、その地域の地形は豪雨による地滑り(土砂崩れ)の影響をより受けやすくなる。
ブリチクプ市での土地の亀裂は数も大きさも増しており、3月28日現在の数は26、最も大きなものは長さ600メートル、深さ70メートルと報じられている。時間と共に亀裂が増え広がり、町が消滅するかも知れないという状況下に置かれた市民は安全な場所に避難することを求められたりしており、枕を高くして眠ることができず、まんじりともせず一晩中、土や石が崩れ落ちる音を聞いているという人達もいるという。
同市のジョアン・カルロス・テイシェイラ市長は3月26日に非常事態を宣言。地域統合開発省もそれを認めたことを3月28日付連邦官報に掲載した。
ヴォソロカは数年前から起きており、森林伐採で土壌が保護できなくなっていた上に、大量の雨が降り、事態が悪化。25~26日にかけて現地を視察、評価した国家防災局と消防は、約220世帯を移転させる必要があるとの結論を出した。
防災局と消防はヴォソロカに関する技術的な研究に協力するためのマッピングも行っており、市役所も、危険と指摘された220カ所に住む家族を移転させることを約束した。
マラニョン州では、ここ数週間の雨のために非常事態を宣言した市が3月29日現在で51に上っている。