ミナス州=鉱滓ダムの使用停止命令=作業員の即時退去も含めて

第3地域労働裁判所イタウナ法廷のヴァルミル・イナシオ・ヴィエイラ判事が5日、資源会社アルセロール・ミッタル・ブラジル(AMB)に、労働者の安全条件保証までミナス州セラ・アズル鉱山の鉱滓ダムを使うことを禁じ、8日に通達したと8日付メトロポレスなど(1)(2)(3)が報じた。
同鉱山はベロ・オリゾンテ大都市圏イタイタイウス市にあり、鉱滓ダムの安全性を問う報道が続いていた。
セラ・アズル鉱滓ダムは、15年と19年に崩壊事故が起きたマリアナ市やブルマジーニョ市の鉱滓ダムと同じ積上げ(アップストリーム)式で、500万立方メートルの鉱滓が蓄積。いつでも崩壊が起こり得るとして、国家鉱業監督庁(ANM)の定める危険水準3に指定され、全国で最も危険とされる三つのダムの一つだ。
同型ダムは19年に解体が命じられたが、同鉱山では解体期限の22年2月以降もダム崩壊の危険度が高いまま、操業を継続。コンサルティング会社3社が操業継続に伴うリスクの高さを指摘しているが、具体的な退避計画などは未定で、州労働検察局が崩壊事故や死者発生の可能性を指摘し、操業停止と作業員退去を求めていた。
AMBは厳格なプロトコルに従って従業員の訓練やアクセス制御を行い、遠隔監視も利用としているが、労働者4~5人が週3~4回、ダム上部から保守作業を行っていたことを認めていた。
8日に通達された司法判断では、ダムを使う活動の全面停止や、同鉱山労働者や自主退避可能エリア(ZAS)住民の24時間以内の退避が命じられており、AMBは即座に鉱滓ダム関連の活動を停止。労働者の退去や機材撤去も始めた。
ダムやその周辺に作業員を投入しての解体作業などは、ダム崩壊時も安全性を確保できる対策の立案、承認後となる。ダム下流には鉱滓流を食い止める堰を建設中だが、崩壊事故が起きた場合、建設工事現場の作業員が退避するための時間は1分52秒のみだ。
ZAS住民600世帯強は退避ずみだが、帰宅時期は未定で、2021年成立の損害補償に関する合意にも苦情が相次いでいる。同社は先週、3億レアルの賠償提案を行い、内1億レアルは9年間かけて支払うというが、被害者達はインフレ調整を盛り込むことなどを要請。交渉は継続中だ。