襲撃事件調査委員会=前大統領腹心中心に召喚=シジ中佐やトレス前法相=「片側の証言では信用失う」

13日、連邦議会で1月8日の三権中枢施設襲撃事件の両院合同議会調査委員会(CPMI)が開かれ、召喚候補リスト39人から現政権派の4人は外され、前大統領腹心を中心に陸軍中佐マウロ・シジ氏やアンデルソン・トレス前法相らを召喚する事を決めた。13日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)(3)などが報じている。
CPMIの報告官はエリジアネ・ガマ上議(シダダニア)で、この日はCPMIに寄せられた280通に及ぶ要求の中から、誰を召喚して証言を求めるかを決めた。来週開かれる委員会での最初の召喚者にはシジ氏やトレス氏が選ばれている。
シジ氏は5月3日、前大統領などのコロナワクチンの接種記録改ざんの嫌疑で拘束され、携帯電話からは、昨年12月に行った軍事クーデターを企てていたことが疑われる会話などが見つかっている。
トレス氏は、法相を退任後に連邦直轄区の保安局長になった直後に休暇を前倒しして、ボルソナロ氏が滞在していた米国に渡っており、渡米直後に襲撃事件が起きたことに関する責任で1月14日に逮捕された。また、逮捕直前(米国からの帰国前)に行われた同氏の自宅の捜査で、ルーラ氏の大統領選当選を無効にする条例の原案が見つかっていた。
同日は、元官房長官と元国防相でボルソナロ氏の大統領選の副候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏、大統領府安全保障室(GSI)元長官のアウグスト・エレーノ氏、連邦直轄区の前軍警司令官のエドゥアルド・ナイーメ氏ら、計35人の召喚が決まった。
ブラガ・ネット氏はボルソナロ氏の落選が決まった後、大統領官邸付近で支持者に「まだ負けと決まったわけではない。準備をしている」という意味深な発言を行っている。GSIは襲撃当日も元長官時代からのメンバーが残っており、襲撃者を大統領府内に案内し、水を提供するなどの姿が監視カメラの映像で確認されている。また、エレーノ氏自身もルーラ氏に関し、病気で死ぬことを願うかの発言を行っていた。連邦直轄区の軍警に関しては、襲撃時に警備に当たっていた軍警の無抵抗ぶりが問題となっていた。
一方、GSI前長官のゴンサウヴェス・ジアス氏、フラヴィオ・ジノ法相、連邦直轄区の治安部門を一時統括し、GSI暫定長官も務めたリカルド・カッペリ氏の召喚は委員投票で過半数を得られず、見送られた。
これに関しては、襲撃当日の連邦政府の警備責任を問いたいとする野党側議員が強い反発を示した。特に不満が強かったのはゴンサウヴェス氏の召喚がないことだった。襲撃事件はゴンサウヴェス氏が長官の時に起きており、事件に関する同氏の報告の不手際を問題視する声も少なくなかったためだ。
これに関しては、アルトゥール・マイアCPMI委員長(ウニオン)も、「一方の側だけの意見を聞くことになり、CPMIの信用を失いかねない」と不満を示している。