5月=GDP先読み指数前月割れ=成長予測引き上げが続く中

【既報関連】下院が税制改革のための憲法改正補則案(PEC)を承認したことなどで国内総生産(GDP)の成長予測引き上げが続いているが、5月のGDPは前月を割ったことを示す指数が連続して発表された。
GDP成長予測引き上げの例は応用経済研究所(Ipea)だ。5~6日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)によると、Ipeaは5日、今年のGDP成長予測を3月時点の1・4%から2・2%に引き上げたが、税制改革のPEC承認後の6日はこの予想を2・39%へと更に引き上げた。17日付アジェンシア・ブラジルなど(3)(4)(5)(6)によれば、金融機関も今年のGDPの成長予測を2・24%に上方修正しており、19日には財務省も成長予測を2・5%に引き上げた。
だが、17日付アジェンシア・ブラジルなど(7)(8)(9)(10)によると、5月の中銀経済活動指数(IBC‐Br)は145・59ポイントで、前月を2%下回った。同指数の計算方法はGDPとは異なるが、GDPの先読み指数とされ、経済基本金利(Selic)決定時の資料となる。
5月のIBC‐Brが21年3月に記録した3・6%減以来の大幅かつ、市場の予想以上の落ち込みを示したことは政府や市場関係者の懸念材料となったが、19日付アジェンシア・ブラジルなど(11)(12)は5月のGDPが前月割れを起こしたことを示す別の数字を報じた。
今度はジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)のGDPモニター調査で、5月は前月を3%下回ったという。Ibreによると、5月のGDP減少の主要因は大豆の収穫期が過ぎ、農業のGDPが落ち込んだことだが、工業やサービス業も高金利で前月比割れを起こしたという。
ただし、5月のGDPは昨年同月比で1・8%成長し、3~5月のGDPも昨年同期比で3・5%増だった。
IBC‐BrやIbreが発表したGDPの動きは、金利批判を再燃させた。17日付アジェンシア・ブラジル(13)によると、アルキミン副大統領は同日、「インフレは下がり、為替も競合力を保っている。税制改革PECは下院を通り、財政改革も前進中。あとはスキャンダラスな金利さえ下がれば雇用創出も堅固になる」と発言。
19日付アジェンシア・ブラジル(14)によると、同日発表の上半期の企業信用需要指数は昨年同期比で3・5%減という数字も高金利で融資利用が減っていることを示す。
17日付アジェンシア・ブラジル(15)は、家族農向けのサフラ計画関連で、融資の返済利率が4%では食糧生産は不可能との農家の声を載せたが、年13・75%という高金利で雇用や生産を増やすための融資利用が減れば、経済活動は減速する。