IBGE新院長に波紋=現行の経済路線に逆行=テベテとの関係に懸念も

26日、地理統計院(IBGE)の院長にマルシオ・ポシュマン氏が就任すると発表された。同氏の就任は労働者党(PT)が進めたもので、同院を管轄する立場のシモーネ・テベテ企画相(民主運動・MDB)の意向を無視して行われたことを懸念する声も上がっている。同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)が報じている。 ポシュマン氏の就任はパウロ・ピメンタ大統領府社会通信局長官が発表した。ポシュマン氏の就任発表はルーラ大統領との会合後に行われた。同長官によると、連邦政府内からは特に反対する声は出ていなかったという。
ポシュマン氏の名前はPT内では予てから大きく取り上げられていた。ポシュマン氏は1993年にカンピーナス大学で博士号を取得した経済学者で、第2期ルーラ政権の2007年に応用経済調査所(Ipea)所長に就任。2012年まで5年間務めた。2012年、16年にはPTの候補としてカンピーナス市長選に出馬している。
だが、ポシュマン氏の就任には予てから、メディアやジャーナリストを中心に反対する声も強かった。26日付CNNブラジルによると、教育調査研究所(Insper)のジュリアナ・イナス教授は、「ポシュマン氏の時代のIpeaは左派的なイデオロギーに偏っており、技術的に公正な判断ができていなかった」と語っており、ジャーナリストのミリアン・レイトン氏は、「インフレ指数などを改ざんする可能性もある」と警鐘を鳴らしている。
また、フェルナンド・ハダジ財相(PT)は予てからポシュマン氏の就任に反対していたという。同財相は連邦議会を通じ、中道勢力セントロンとの調和を保ちながら、財政均衡法(アルカボウソ)や税制改革を進めているところだ。そこにPTの中でも左寄りの人たちが支持しているポシュマン氏が加われば、現在の路線に影響を及ぼしかねない。
ハダジ氏以上に影響があると見られているのはテベテ氏だ。昨年の大統領選で3位になったテベテ氏には保守派の支持もあったほどだが、自身の管轄する省庁の傘下に政治的な主張が大きく異なるポシュマン氏を迎えることで、PTの圧力を受ける可能性も出てきている。同省内では反対の声が事前にあり、就任発表後も敗北感が漂っていたという。
テベテ氏は26日、グローボ局の取材に対し、「ポシュマン氏就任に関して、私には事前の相談はなかった。それまでの院長に対しても失礼だったと思う」と、今回の人事に疑問を呈した。
テベテ氏はルーラ氏が連邦検察庁のアウグスト・アラス長官を再任させる可能性が出ていることにも触れ、「もし本当なら最悪だ」と発言している。
ただ、27日付オ・グローボによると、テベテ氏は同日朝、「誰になっても、大統領に応答することが最も大切。誰であっても受け入れ、先走った判断はしない。彼との対話は技術的なものになるだろう」と語っている。