超富裕層ファンドに課税=財相の方針に波紋広がる

フェルナンド・ハダジ財相(PT・労働者党)は19日、超富裕層向け投資ファンドの課税ルールを変更する提案を議会に送るとの意向を表明した。徴収額を増やすことだけで国民の経済格差を減らすことが狙いだが、外国の投資家を遠ざける可能性があると、専門家が懸念している。22日付CNNサイトなど(1)(2)が報じている。
現在、超富裕層向けの投資ファンドは、収益が引き出された時にのみ、15~22・5%の範囲で課税されているが、政府は5月と11月の最終日に定期的に税金を差し引く「コミ・コタス」の導入を検討している。専門家は、この変更が金融市場で嫌悪感を引き起こし、それによってブラジルから国外に資本が流出する可能性があると警告している。
半期毎の課税が行われれば、投資家は税金を支払うために資産を活用するか、一部の投資を行う必要があり、ファンドの運用コストが高まる、もしくは非効率になる可能性がある。その結果、多くの投資家がファンドを解約したり、国外に資金を投資したりするようになり、ブラジル経済に悪影響を及ぼす可能性が高まる。
金融データと市場情報を提供するウェブプラットフォーム「Trademap」のデータによると、今年の4月から7月にかけて、超富裕層向けのファンドからは270億レアルが引き出された。この動きは、政府が課税のルール変更を検討すると発表したことで起きたものだ。
課税ルールの変更についてはテメル政権時以降、長い期間をかけて議論されてきた。現在、ブラジルには2685の超富裕層向けファンドがあり、国内総生産(GDP)の約10%に相当する、9390億レアルの投資が行われている。
また、税収の増加だけでは格差は解消されないことや、重要なのはその資金の使われ方であり、政府の予算計画はより明確で効率的でなければならないと専門家は指摘する。「中途半端な政策」との厳しい見方もされている。