ルーラの指名に注目集まる=連邦検察庁の次期長官人事=アラス再任希望だが望み薄

9月に任期の切れる連邦検察庁長官の人事に関し、ルーラ大統領は8月にも後任の指名を行いたいと考えている。再任を考えている現職のアウグスト・アラス氏は可能性が低いとされ、最高裁で一部強く押されている人物が候補だが、そこにも大統領はやや懸念を感じていると、7月28日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)(4)が報じている。
連邦検察庁長官の任期は2年で、就任式は隔年の9月に行われる。今回の場合はルーラ氏の第3期政権で初めて選出される長官となるため、なおさら注目度が高い。
長官選出は、検察庁の内部選挙で選ばれた3人の候補(トリプリセ)から選ぶことが伝統とされていた。だが、ボルソナロ前大統領は2019、21年の2度、これを無視してアラス氏を選んだ。
ルーラ氏も早い段階から、トリプリセに従わないことを示唆している。今回もすでにトリプリセそのものは行われており、ジョゼ・アドニス氏、ルイーザ・フリシェイセン氏、マリオ・ボンサリア氏が選ばれている。
この次期長官の座を巡り、アラス長官は3期目を目指してキャンペーンを張っている。アラス氏に関しては、同氏の出身である北東部からの支持が強い。最も熱心に推しているといわれているのはアラゴアス州が拠点のアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)で、ルーラ大統領の労働者党(PT)でも、バイア州元知事で北東部の大物のジャッケス・ワグネル上議などの支持があると言われている。
しかし、連邦政府関係者は、アラス氏がボルソナロ大統領に対する訴えをお蔵入りさせる事態が続いたこと、パンデミックの際のボルソナロ氏の対策軽視に関する訴えへの対処が甘かったことを問題視している。シモーネ・テベテ予算企画相も「ルーラ氏がアラス氏を再選させたら災難だ」と酷評している。
だが、CNNブラジルが7月30日付で報じたところによると、ルーラ大統領は側近に対してアラス氏の再任は行わないとの意向を伝えており、同氏が2期にわたり、ボルソナロ政権で検察庁長官を務めたことが障害になっていることを認めているという。
現時点で次期長官が有力視されているのはパウロ・ゴネ副長官だ。同長官は、6月に選挙高裁で開かれたボルソナロ氏の裁判で、8年間の被選挙権剥奪を薦めた人物として知られている。
また同氏は最高裁、とりわけジウマール・メンデス、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事と近い関係にある上、アラス氏が信頼を寄せている人物とも言われている。
こうした事情からゴネ氏が最有力となっているが、大統領には懸念もあるという。それはゴネ氏を選出することで、メンデス、モラエス両判事の権力が強力化しないかを恐れているという。その一方でルーラ氏は両判事が連邦政府とのパイプ役を果たしてくれていることを高く評価しており、「彼らをがっかりさせたくない」とも語っているという。
検察庁長官は大統領の指名後、上院憲政委員会での口頭試門(サバチーナ)を受け、同委員会と上院本会議で承認されれば決まる。