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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=36

2023年8月5日

「姉ちゃん、こんな夜だったな。日本にいた時、お母ちゃんとお父さんが喧嘩して、里に帰ったお母ちゃんを迎えに行ったのは」
「そんなこと覚えてんの。あの夜も淋しかったね。今は病気して、喧嘩はしなくなったけど……」
 浩二の話に相槌を打ちながらも、胸のうちは、持ってきた品物が果たして買ってもらえるのかどうか、気になる律子だった。
 
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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=36 | 南米の鼓動をキャッチ! ブラジル日報