シジ容疑者=父陸軍大将が違法行為に関与=銀行振り込み避け現金渡し示唆=前大統領は容疑を全面否認
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ボルソナロ前大統領の右腕の陸軍中佐マウロ・シジ容疑者の父親が、前大統領がサウジアラビアから贈られた高級時計を米国で売り、それをボルソナロ家の弁護士が買い戻していた嫌疑が浮上。さらにシジ容疑者が、シジ氏の父親の持つ2万5千ドルをボルソナロ氏に送るのに「銀行口座では不安だから現金で送りたい」との会話が他の大統領への贈り物の売却の話と共に上がっていた録音も見つかった。前大統領は容疑を全面否認し、銀行口座開示の意思表明をしている。11日付UOLサイト(1)などが報じている。
11日に連邦警察が行った「ルーカス12・2作戦」の捜査対象は、シジ容疑者の父親でボルソナロ氏の長年の友人でもある陸軍大将マウロ・ロウレーナ・シジ(以下ロウレーナ)氏と、ボルソナロ一家の担当弁護士フレデリック・ワセフ氏だった。
連警の説明では、ロウレーナ氏は前大統領が2019年にサウジアラビアから贈呈されたロレックスなどの高級時計を6万8千ドルで米国企業「プレシジョン・ウォッチズ」に売っていたという。だが、国立会計検査院(TCU)がこれを問題としたためにワセフ氏が渡米して買い戻していたという。
ワセフ氏は3月29日に時計を持って帰国し、4月2日にサンパウロ市でシジ氏に会って時計を渡し、シジ氏はブラジリアに戻り、ボルソナロ氏の別の側近である軍人のオスマール・クリヴェラッティ氏に時計を渡したとのことだ。クリヴェラッティ氏もこの捜査の対象となっている。
この嫌疑に対してワセフ氏は書面で「このような計画とやらに私は何も関与していない。これは私を陥れようとする罠に過ぎない」との憤りを表明している。
11日付CNNブラジルの記事(2)によれば、連警はシジ容疑者から押収していた携帯電話からの録音の一部を公表したが、これが物議を醸した。
その録音でシジ容疑者は「父は手持ちで持参しようと思えばできるのだが、口座に入れるという手段もある。私は口座は避けた方がいいと思うが、そう思わないか」「父は2万5千ドルを持っている。私は現金の方が良いと思うのだが、父はその件に関して大統領と話したがっているんだ」と語っていた。
この会話はボルソナロ氏の側近の一人でありマルセロ・カマラ氏とのものだったが、カマラ氏は「現金が良いだろう」と答えている。現金でやり取りすれば監査に引っ掛かりにくい。
11日Veja誌サイト記事(3)によれば、「シジ容疑者の父親が連警の捜査対象になったことで、陸軍内部では問題児扱いされるようになり、多大な緊張を生んでいる」と報じられている。
一方、11日付CNNブラジル(4)によれば、ボルソナロ氏の弁護人は「全国紙で報道された事実について、ジャイル・ボルソナロ大統領の弁護団は、催促されることなく、自発的にTCUに請願し、その取り扱いに関する最終決定まで、同裁判所に物品を預けるよう要請し、実際に預けられた。ボルソナロ大統領は、公共資産の流用や不正流用は一切行っておらず、銀行取引は司法当局に公開されていると繰り返し述べている」との声明を発表した。11日付フォーリャ紙報道によれば、前大統領は銀行取引を当局に開示する意思を表明した。
ボルソナロ氏は13日、自身のチャンネルで「シジ氏の長期拘束は彼に報奨付証言をやらせることが目的だ」と連警を牽制した。だが、中東からの贈り物の疑惑に関しての言及は行わなかった。