新PAC=サンパウロ州では高速鉄道や研究所建設=資金調達に不透明な部分残る

【既報関連】11日に発表された経済活性化計画(PAC)第3弾には、以前からの懸案事業やかつてのPACに含まれていた未完成の事業などを含む2026年までの事業が盛り込まれた。
11日付エスタード紙サイトなど(1)(2)によると、PAC第3弾発表式には閣僚や約20人の知事、PAC第1弾実現に貢献し、「PACの母」と呼ばれたジルマ・ロウセフ元大統領やアルトゥール・リラ下院議長、政党リーダーなどが出席した。
州別投資額はリオ州の3426億レアル以下、サンパウロ州1796億レ、ミナス州1719億レと続く。
11日付オ・グローボ(3)によると、投資額2位のサンパウロ州での目玉事業の一つは、サンパウロ市~カンピーナス市間を繋ぐ高速鉄道(TIC)だ。TICの敷設工事担当企業(企業体)を選ぶための入札は11月20日の予定だ。完成時の最高速度は150キロ/時、平均時速は96キロ/時で、1回に800人まで運べる。
2都市間を結ぶ利用料金(座席指定)は1人64レの予定で、頻繁に利用する人には割引も考慮される。途中停車はジュンジアイーのみで、96キロを1時間強で結ぶ。両市間のバスは41レアルだが、時間がかかる。
なお、両市間を繋ぐ既存の鉄道路線は、サンパウロ~ジュンジアイー間(CPTM7号線)が途中駅4カ所で4・40レアル、ジュンジアイー~カンピーナス間のTIM(市間鉄道)は途中駅3カ所で14・05レと安いが、乗り継ぎがあり、時間もかかる。
また、カンピーナス市国立エネルギー・材料研究センターに10億レで建設予定のバイオセキュリティ研究所は、世界初の放射光光源シリウスと接続された研究所となると12日付G1サイト(4)が報じた。同所は重篤な疾患を引き起こし得る、高度の伝播性(クラス3~4)を持つ病原体を使った研究が可能な封じ込め実験用複合施設だ。
同研究所のセキュリティレベルは非常に高く、診断方法やワクチン、治療法を開発するための生物学的因子の監視や分離、研究を行うための国としての条件整備という意味で重要だ。
サンパウロ州での事業にはサントス~グアルジャー間の海底トンネルなども含まれている。
なお、連邦政府と各州、各省は意欲的な事業計画を立てているが、12日付Veja誌サイト(5)によると、財政均衡法は下院での再承認待ちの上、公社や民間企業からの投資も前提とした官民合同プロジェクト(PPP)であるため、資金調達計画にはまだ不透明な部分が残っている。
現時点での資金は政府予算3710億レ、民間部門6120億レ、公社関係3430億レ、融資3430億レであり、今後の金利動向も影響を与える。