フォード、工場跡地をバイア州に売却=BYD電気自動車事業実現に弾み

【既報関連】フォードがバイア州カマサリの工場跡地をバイア州政府に売却することが決まり、7月にブラジル国内での電気自動車生産に30億レアルを投じる意向を表明した中国の自動車メーカーBYD社の計画実現が近づいたと14日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
工場跡地の州への売却が決まったのは11日で、売却額などは公表されていないが、これにより、BYDは工場跡地購入のための交渉を州政府と直接行うことが可能となった。
7月4日付テラサイトなど(5)(6)(7)(8)によると、BYDは7月4日、カマサリ市に30億レを投じてブラジルでの電気自動車生産に本格参入する意向を表明。同市内に三つの工場を建設し、一つ目では電気バスや電気トラック用のシャーシを、二つ目ではハイブリッド車や電気自動車を生産する。また、三つ目では国外需要に応えるため、リン酸鉄リチウムイオン電池を製造するためのリン酸リチウムやリン酸鉄の加工を行う予定だ。
米州大陸初の電気自動車製造工場は2024年後半に始動する見込みで、当初は年間15万台規模で操業する予定とされている。
BYDは当初から2021年1月に操業を停止したフォードの工場跡地を念頭に置いており、今回のバイア州政府への跡地売却で、土地取得に関する交渉はより容易になる。
BYDはそれと同時に、2025年に期限切れとなる予定の北東部の自動車メーカーに対する税制上の特別優遇措置に関する動向も見守っている。税制上の特別優遇措置に関しては、企業、政府、連邦議会も巻き込んで2032年まで延長する動きが出ているが、政界では優遇措置の対象地域拡大も含めた交渉が続きそうだ。
なお、BYDは、11日の午後遅くに発表した声明で、フォードの工場跡地の売却合意への直接の言及は避けながら、バイア州政府との必要な交渉を維持しつつ、カマサリの産業部門への投資計画を継続すると伝えた。
BYDは今年だけで150万台、通算では500万台以上の電気自動車を生産しているメーカーで、ブラジルでは2015年から、サンパウロ州カンピーナスで車体の枠組みと電気バスを生産している。カマサリで生産する車種は電気自動車の「Dolphin」とハイブリッドカー「Song Plus」となる予定で、同市では5千人規模の雇用創出も期待されている。