心臓移植で結婚相手も=「二つの心臓を得た」と告白

ブラジルは世界でも有数の心臓移植国で、心臓移植にまつわる逸話も数多い。
3日付G1サイト(1)が報じたのもその一例で、父親や兄弟らを心臓疾患で亡くした男性が、同じ疾患で心臓移植を受けた折に病院で介護してくれた女性と結婚。「私は二つの心臓を得るという幸運に恵まれた。一つは私が必要としていた移植用の心臓、もう一つは生涯の伴侶だ」と告白している。

この男性はバイア州出身の会計士のジョナタス・カバネラス氏だ。同氏は1980年代に先天性心臓疾患の肥大型心筋症で父親と兄弟を1カ月の間に続けざまに亡くした。さらに、姉妹も心臓移植を待っていた2012年に死亡。彼自身も5歳の時、同じ問題があることが判明していた。この病気は心臓の筋肉が厚く硬くなり、脈を打つのが困難になる。
症状が重くなり、脳血管障害を起こしたのは33歳だった2015年。心臓移植が必要と宣告した医師は、サンパウロ市かフォルタレーザ市の病院に入院することを勧めた。
ジョナタス氏は、より身近という理由でフォルタレーザ行きを希望。だが、脳血管障害後で体の自由を奪われ、言葉も不自由だった同氏がフォルタレーザに着いた時、公立のメセジャナ心臓病院には空きがなく、私立病院に入院した。ここで出会ったのが看護技師だったエリス・パレンテ氏だ。
エリス氏はジョナタス氏の入院当日、同僚に頼まれて当直勤務を担当。病室の前を行き過ぎた彼女が病室をのぞいて微笑みかけた時、ジョナタス氏は何か特別なものを感じたという。一方のエリス氏は、身寄りもなく、故郷を離れた場所で入院しているジョナタス氏を気の毒に思い、病室を繰り返し訪問。ジョナタス氏がメセジャナ病院に移ってからも、移植までの3カ月間、訪問を続けたという。
だが、やっと実現した移植後も、24時間心臓が動かず、炎症を起こすといった問題が発生。点滴などの管につながれたジョナタス氏を見たエリス氏は、仕事を辞め、ジョナタス氏の看護に徹した。
ジョナタス氏はそんな彼女に、「お願いだ。僕を一人きりにしないでくれ」と頼んだという。それから8年。二人は結婚し、2児をもうけて、幸福に暮らしている。