閣僚再編で連立与党に亀裂=しわ寄せにフランサが反発=セントロン取り込み工作で

ルーラ政権の閣僚再編で、マルシオ・フランサ港湾空港相が交代となりそうなことを受け、ルーラ大統領とブラジル社会党(PSB)との間に亀裂が生じる危険性が生じている。5日付エスタード紙サイト(1)やテラサイト(2)が報じている。
進歩党(PP)と共和者(RP)を連邦政府に取り込むための閣僚再編は、6日にも新閣僚発表を行うところまでこぎつけたと報じられている。ルーラ政権は2党が指名した候補者任命のための調整に手間取り、7月頃から2カ月近くを要している。
予想ではアンドレ・フフカ氏(PP)がスポーツ相、シルヴィオ・コスタ・フィーリョ氏(RP)が港湾空港相に就任と見られているが、ここまでの道のりも決して容易ではなかった。スポーツ相は、元バレー選手のアナ・モーゼル氏(無所属)が、「女性の権力者が少ない」として辞職に強い難色を示していたからだ。
だが、それ以上にこの人事に波紋を投げかけているのがPSBだ。とりわけ、フランサ氏は苛立ちを隠していないという。フランサ氏は8月下旬にルーラ氏本人に呼ばれ、直接話し合っているが、エスタード紙記事によると、側近に「閣僚を辞めたい」と漏らしていたという。
フランサ氏は昨年から、ルーラ氏や労働者党(PT)に対して不満を持っている。フランサ氏は副大統領のジェラルド・アルキミン氏がサンパウロ州知事だった時の副知事で、その縁でアルキミン氏は30年以上在籍した民主社会党(PSDB)からPSBに移籍。そのため、昨年の大統領選でルーラ氏がアルキミン氏と連立名簿を組むことを可能にした人物とみなされている。
だが、それにもかかわらず、昨年の統一選ではフランサ氏が希望したサンパウロ州知事選にはフェルナンド・ハダジ氏(現・財相)が出馬。フランサ氏は上議選出馬に回された結果、落選した。
加えて、フランサ氏は自身の後任にRPの政治家が就くことにも難色を示しているという。フランサ氏は18年にアルキミン氏の大統領選出馬で8カ月間、知事を務めており、2026年の知事選での返り咲きを狙っているが、RPは現知事のタルシジオ・デ・フレイタス氏の所属政党。コスタ・フィーリョ氏は連邦政府寄りの姿勢を見せているものの、RPはタルシジオ氏はじめ、ボルソナロ前大統領支持派も多い政党だ。
ルーラ氏は新たに創設した中小企業相にフランサ氏を配置転換する考えもあったが、フランサ氏がこれに興味を示していない。
そうしたこともあり、G1サイト(3)も報じているように、ルーラ大統領はアルキミン副大統領と相談し、フランサ氏の処遇をどうするかを協議している。現在は、ルシアナ・サントス氏が務めている科学技術相、もしくはアルキミン氏が牽引している商工相を譲ることなどが話し合われているようだ。
また、セントロン取り込みのために用意したと言われている中小企業相はフランサ氏、セントロン共に興味を示しておらず、立ち消えの可能性も出ている。