リオ・グランデ・ド・スル州=死者41人に不明者46人=連邦政府も非常事態認める

【既報関連】4日に発生したサイクロンと寒冷前線で甚大な被害を被った南大河州での死者は7日19時現在で41人に達した。8日は死者数こそ増えていないが、行方不明者が25人から46人に増えており、死者数はまだ増えそうだ。州政府が6日に全州に非常事態宣言を発したのを受けて、連邦政府も79市に対して非常事態を認めたと8日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じた。
サイクロンで生じた洪水や強風による被害はタクアリ川流域を中心に広がっており、市内全域の85%が水に浸かった人口約5千人のムスン市では、15人が亡くなった。その他に死者が出ているのは、ロカ・サレス10人、クルゼイロ・ド・スル4人、ラジェアド3人、エストレラ、イビライアラス各2人、エンカンタド、イミグランテ、マット・カステリャノ、パッソ・フンド、サンタテレーザ各1人だ。
行方不明者はムスン30人、ラジェアドとアロイオ・ド・メイオ各8人の計46人となっている。
多くの市民が着の身着のまま逃げ出しており、家や家財を失った人や、店頭に出ていた商品はもちろん、在庫も失った商店などが続出。7日付G1サイト(7)によると、ロカ・サレスでは唯一の病院も屋根の高さまで浸水。病室や機材も使用できなくなったが、入院患者12人は全員、浸水が始まった4日夜、他の医療機関に移せたという。
7日付アジェンシア・ブラジル(8)によると、川の急激な増水で浸水が始まる前に逃げられず、屋根の上やビルの上層階に逃れていた人達の救助には海軍も出動。7日夜の時点では、消防による空からの活動と海軍や消防によるボートなどによる活動などで救出された人は3037人、親戚や知人を頼って避難した人や避難所に身を寄せている人は計1万551人と報告されている。
6、7日付アジェンシア・ブラジル(9)(10)によると、サンタテレーザとノヴァ・ロマ・ド・スルは6日の時点で緊急事態を宣言していたが、同日夜には州政府が非常事態を宣言。7日には連邦政府も79市に対し、非常事態と認定。支援を約束すると共に、修復計画などの提出を求めた。連邦貯蓄銀行は、被災市住民に対し、勤続期間保障基金(FGTS)の引き出しを承認した。
水が引き始めた所では瓦礫処理などのためのトラクターなども導入され始めたが、7日付アジェンシア・ブラジル(11)によると、7日現在も16の高速道が全面または部分的に通行止めとなっている。また、水の勢いで橋が倒壊し、地域で唯一の病院に行くために100キロも迂回しなければならない地域があるなど、人や救援物資の輸送にも支障が出ている。
他方、気がかりなのは、ウルグアイからの寒冷前線のために、7~8日にかけて大半の地域で強い雨が降ったことだ。7日付アジェンシア・ブラジル(12)や8日付クリマテンポ(13)によると、8日未明までの24時間だけで100ミリを超える雨が降った市も相当数あり、既に大量の水を含んでいた土砂が地滑りや土砂崩れを起こす可能性がある。9日の天気は徐々に回復する見込みだが、11日にはまた、南部の約半分で強い雨が予想されている。
なお、同州では赤十字などが中心となって食料や水、衛生用品、衣類などの寄付を受け付けているが、8日付アジェンシア・ブラジル(14)によると、同州に本拠を置くサッカークラブ(グレミオ、インテルナシオナル、ジュヴェントゥデ)も支援網を構築し、スタジアムやトレーニングセンターなどで被災者への寄付などを受け付けている。