閣僚再編=セントロンの閣僚決まる=2人の解任巡り反発発生=RPは連立なく独立のまま

ルーラ政権がセントロン取り込みのために行ってきた閣僚編成が6日までにまとまり、アンドレ・フフカ氏(進歩党・PP)のスポーツ相、シルヴィオ・コスタ・フィーリョ氏(共和者・RP)の港湾空港相就任でまとまった。だが、この再編でもRPが政党連立を断り、職を追われた大臣を巡って波紋が広がるなどの課題を残した。5日付CNNブラジル(1)などが報じている。
スポーツ相に関しては、ルーラ大統領が5日、アナ・モーゼル氏に直接会って説得して、話がまとまった。アナ氏はかつて、バレーボールの代表選手でもあったため、この人事に関しては世間の関心が高かった。また、本人も「女性の権力者が少ない」と自身の解任に強い抵抗を示していたため、ここまでこぎつけるのに2カ月を要したが、ついに解任が決まった。
だが、アナ氏解任は社会的に強い反感を呼んだ。一つはルーラ政権では観光相だったダニエラ・カルネイラ氏に続く女性閣僚解任だからだ。それも、解任の理由が業績不振などではなく、セントロンを取り込むための犠牲となったのが女性だったことを問題視する世論がネット上などでは目立っている。
同氏の解任に関しては、UOLサイト(2)によりフェミニストとして知られるジャンジャ大統領夫人もSNS上で、「私も満足していない」との見解を発表し、波紋を広げている。
また、スポーツに通じているということでもないフフカ氏が政治的な理由だけでスポーツ相に就任することに対しても、「スポーツ軽視」と批判する動きがある。アナ氏も7日、CNNブラジル(3)に対し、「スポーツが捨てられた」との発言を行っている。スポーツ省はボルソナロ政権時代に廃止もされている。
アナ氏に関しては「スポーツ省内に役職を」との連邦政府側の配慮もあるとされているが、現段階では不透明だ。
一方、コスタ・フィーリョ氏のRPは7日、声明を発表し、「連立与党には入らず、これまで通り、独立の立場をとる」とし、コスタ・フィーリョ氏に関しては「あくまで個人としての入閣。党役職は全て辞めることが条件」との見解を示した。
この背景には、同党の看板政治家でボルソナロ政権でインフラ相も務めたタルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事が、「ルーラ政権と連立すれば離党する」と発言していたことなどがある。同党はタルシジオ氏をはじめとして、ボルソナロ派が多い政党としても知られている。この声明を行った一方で、CNNブラジル(4)によると、タルシジオ氏は同党への残留を決めた後、「仲間が省庁の一つを握った」と話しているという。
他方、港湾空港相を追われたマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)は6日、自身のSNSにルーラ氏が自身と写る写真と、ルーラ氏がタルシジオ氏と並ぶ写真を同時に見せて皮肉り、物議を醸した。
フランサ氏は、ルーラ政権が敵対しているはずのボルソナロ氏と繋がりの深いタルシジオ氏の政党を閣僚に迎え入れることに強い抵抗を示している。次期サンパウロ州知事選を目指すフランサ氏にとり、タルシジオ氏は最大の対抗馬でもある。
7日付アジェンシア・ブラジル(5)によれば、アレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長菅は7日、スポーツ相や港湾空港相に関する人事異動を発表した際、フランサ氏が新設の中小企業相への配置転換を受け入れたことも明らかにしている。