シジ容疑者=最高裁が連警へのデラソン承認=検察庁の強い反発押し切る=ボルソナロ弁護側は抗戦準備
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9日、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事がボルソナロ前大統領の右腕だった陸軍中佐マウロ・シジ容疑者の連邦警察への報奨付証言(デラソン・プレミアーダ、以下デラソン)締結を承認し、5月以降、拘束が続いていたシジ氏の釈放を命じた。サウジアラビア王室からの贈り物転売などの嫌疑に関するシジ氏の証言内容いかんで、ボルソナロ氏が罪に問われる可能性もある。本紙9日付《連邦警察 シジ容疑者の報奨付証言を受理》と同じ件の続報で、今回は連警によるデラソンが最高裁により承認されたという内容の詳報。9日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
シジ容疑者は9日15時ごろ、5月3日に逮捕されて以来、4カ月ぶりに釈放処分となった。だが、自宅軟禁中は電子足環の着用が義務付けられ、所属の陸軍の職務は停職とされた。また、48時間以内に裁判所に出頭し、それ以降も毎週月曜日に出廷することを命じた。
加えて、シジ容疑者は銃の所持禁止やパスポートの没収、ネットへのアクセスや他の容疑者との接触も禁じられた。
8月からシジ容疑者の弁護を担当しているセーザル・ビッテンコート氏は、弁護士交代の時点から同容疑者が連警とのデラソン締結に応じるであろうとの見方を示していた。同容疑者は8月下旬からは連日、連邦警察で長時間の供述を行っていた。
シジ容疑者が逮捕された理由は、自身や家族、ボルソナロ前大統領とその娘のコロナワクチンの接種記録改ざんによるものだったが、同氏が関与したとされるサウジアラビアからの贈り物売却や、モラエス判事が直接管轄しているデジタル・ミリシア(ネット犯罪者)や1月8日の三権中枢施設襲撃事件、並びにクーデターを画策したと見られる文書についてなどが、デラソンの対象とされる。デラソンの条件の一つは、組織的な犯罪に関し、新たな内容を証拠と共に提供することだ。
連邦検察庁のアウグスト・アラス長官は今回のデラソン締結に関し、ラヴァ・ジャット作戦でデラソンを行ったが信憑性に欠けていた、ジウマ政権時の元官房長官のアントニオ・パロッシ氏や元リオ州知事のセルジオ・カブラル氏などの例を出して反対した。だが、モラエス判事は2018年以来採用されている「連邦警察にもデラソン締結の決定権がある」との判断に基づき、デラソンを認めた。
カルタ・カピタル誌(2)によるとデラソン締結後、フラヴィオ・ジノ法相はSNSを通じて連警のデラソン締結の正当性を主張し、「連警は真摯に、かつしっかりと法的な手続きを踏みながら事を進めた」としてデラソン締結を評価している。
フォーリャ紙(3)によると、ボルソナロ前大統領の側近らはこのデラソン締結に強い恐れを抱いているという。それはシジ氏がボルソナロ氏にとっての何でも屋的存在であること、さらにシジ氏がミシェレ夫人のことについて言及しないかを気にしているという。
ボルソナロ氏の弁護団は、ルーラ大統領がラヴァ・ジャット作戦のデラソンで多くの疑惑を持たれながら、結局は全て無効になったことなどをもとに、シジ氏のデラソンの無効を訴えたいとしているという。
一方、ヴェージャ誌(4)やG1サイト(5)によると、ボルソナロ氏や一家はデラソン締結後、沈黙を保っている。ボルソナロ氏は11日、腹部のヘルニアの手術のため、サンパウロ市ノヴァ・スター病院に入院している。