トレス=携帯からクーデター擁護画像=ルーラ絞首刑や連邦介入示唆=メトロポレスで独占報道

前法相のアンデルソン・トレス容疑者の携帯電話から、捜査当局がゴウピスタ(クーデター擁護者)と考える一連のコンテンツが見つかったと連邦警察が発表した。ルーラ氏とPTの仲間らの絞首刑を示唆する画像もあった。18日付メトロポレス(1)でパウロ・アパッペリ氏が独占報道している。
トレス容疑者は昨年末にボルソナロ政権での法相の任期を終え、年始からは連邦直轄区保安局長に就任。だが、1月6日に休暇を前倒しして突然米国に向い、その直後の8日に襲撃事件が発生。
そのことから、同容疑者は警備責任を問われ、最高裁が逮捕命令が出したが、同氏の帰国前に行われたブラジリアの自宅でも家宅捜索で、昨年の大統領選の結果を無効化する法案(ミヌタ)が見つかったことで、クーデター画策の疑いが持たれていた。
トレス容疑者は4カ月続いた拘束中に行われた事情聴取でも、「ミヌタは他から回ってきたものをたまたま保管していただけ」と主張し、クーデター画策などは否定していた。
だが、連警の捜査により、ルーラ氏の当選決定から就任までの間、トレス氏がクーデターを求めるボルソナロ派の人たちの主張が反映された画像の数々を貯めて所持していたことが判明した。
トレス氏は逮捕の際に連警に携帯電話の提出を求められたが、「米国でなくした」として拒否。今回のデータは捜査班がクラウドに残っていたデータから発見したものだという。
その中で最も注目されているのが、22年12月3日付でトレス容疑者が所持していた、スロープや舞台の意味の「ランパ」と題する画像だ。そこには「選挙を不正捜査した腐敗した共産主義者たちは、ブラジル国民が築いた憲法によるブラジリアのランパを登るだろう」との書き込みがあり、スロープの先には絞首台が描かれているという。
さらに大統領選の決選投票が終わった直後の11月2日に作成された「連邦の介入」、つまり三権による合法的な選挙結果への介入実施を呼びかける文書のフォルダーも見つかっている。
この「連邦の介入(クーデター)」という表現は、ボルソナロ前大統領の元右腕の陸軍中佐マウロ・シジ容疑者も、押収された携帯電話の記録の中で昨年の12月頃によく使っていた。シジ容疑者報奨付証言を連警と締結し、9日に釈放されたばかりだ。
トレス容疑者の携帯電話からは、決選投票の4日後に流された、アレッシャンドレ選挙高裁長官に対して「3万9千レアルの月給で400万レアルの資産価値の物件を8軒所有していることの説明を5日以内に求める」という虚報や、22年4月23日に軍高官たちが署名したとする「最高裁はどこへ行くのか」と称した虚偽の抗議文書、さらに「ポルト・アレグレで決選投票で不正が見つかった」との虚偽報道なども発見されている。
メトロポレス(2)によると、ルーラ大統領の労働者党(PT)のグレイシ・ホフマン党首は、トレス氏個人の携帯電話からルーラ氏の処刑をも含む過激な暴力扇動や虚偽情報が大量に見つかったことに呆れ、「襲撃事件のテロリストだけではなく、政治家や軍人、司令官らの罪も追求していくべきだ」との声明を発表している。
今回発見された画像や文書により、トレス容疑者がクーデター画策などにどの程度関与していたかの捜査が進展することも予想される。