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ルーラ=国連総会で安保理改革要求=貧富差批判など7回も拍手=ゼレンスキーは距離置く

2023年9月21日

国連総会でのルーラ大統領(Ricardo Stuckert / PR)
国連総会でのルーラ大統領(Ricardo Stuckert / PR)
 19日に始まった国連総会の開会式でルーラ大統領が演説を行った。ルーラ氏は、先進国による開発途上国への支援の必要や国連安全保障理事会の再編を訴えた。演説は拍手で迎えられたが、ウクライナのゼレンスキー大統領が拍手しない場面も見られた。同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じている。

 ルーラ大統領は演説で、「この演台に私が最初に立ったのは2003年だった。20年経った今もあの頃と同じように人間性について語っていきたい」と始め、「現在、全世界では明日食べるものがあるのかさえわからないほどの貧困に直面している人が7億3500万人に至っている」と、悪化が続く貧困の状況を訴えた。
 また、「ブラジルでは国連が掲げている持続可能な開発のための2030アジェンダに盛り込まれた、測定可能な17の目標全てを統合的かつ不可分の方法で実施することに取り組んでいる。また、社会における人種平等達成という18番目の目標も掲げているが、これは私たちが自発的に採用したものだ」と発言し、拍手喝采を浴びた。
 ルーラ氏は引き続いて社会格差について語ったが、富裕国に対しては特に厳しい物言いを続けた。同氏は気候変動問題に触れ、「今日の世界で排出されている温室効果ガスの半分は、上位10%に入る先進国が出しているものだ」との表現で、先進国の責任を強調した。
 新自由主義は、今日の民主主義を悩ませている経済的・政治的不平等を悪化させた。そのせいで、実際は違うのに、簡単に実行できると誤解させる安易な解決策を売り込む極右の冒険家が出現している」と政敵を暗に批判し、「多くの人が、失敗した新自由主義を原始的で保守的で権威主義的なナショナリズムに置き換えるという誘惑に負けてしまった」と演説した。新自由主義で有名な政治家は、レーガン、サッチャー、小泉純一郎3氏など。
 ルーラ大統領はさらに、国連の安全保障理事会に対して、「急速にその信頼性を失っている」との批判を行った。安全保障理事会は米国、中国、ロシア、イギリス、フランスの常任理事国5カ国と、持ち回りの非常任理事国10カ国という形で長年固定されているが、ルーラ氏は「ウクライナ紛争のように、常任理事国の一つ(ロシア)が直接的に関与している場合は非常に脆弱だ」と主張。より広い範囲で効果的に紛争問題を対処できるよう、緊急に再編する必要があると説いた。
 ルーラ氏は続けて、国連が軍事費に大量の資金をつぎ込み、貧困対策に十分な費用が回されていないとも批判した。
 20日に個別会談を行う予定のウクライナのゼレンスキー大統領は、一連の発言に対しても、憮然とした表情を浮かべただけだった。同大統領はかねてから、ルーラ氏の和平案に懐疑的な姿勢を示している。
 ルーラ大統領の演説は概ね好評、7回の拍手に迎えられた。CNNブラジルはボルソナロ前大統領が行った3度の国連演説と比較。「ボルソナロ氏が国連演説で拍手を受けたのは3回目の演説の終わりだけだった」と評している。
 だが、「反米親露で、友人の独裁者を批判する言葉もない酷いものだった」と評したセルジオ・モロ上議のように、保守派からは批判の声も上がっていた。

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