最高裁=少数派と民主主義擁護宣言=バローゾ新長官が就任式で=注目集まるローザ氏の後任

28日、最高裁長官がローザ・ウェベル氏からルイス・ロベルト・バローゾ氏に交代した。また、定年退官するローザ氏に代わる判事を巡り、様々な憶測が浮上している。28日付フォーリャ紙(1)やG1サイト(2)が報じている。
G1サイト(3)によると、ローザ長官は前日の27日、最高裁で退官の辞を述べた。同長官は1月8日の三権中枢施設襲撃事件を「忘れてはならないこと」とし、ヘイト・スピーチ撲滅のために戦う必要があると主張した。
また、自身が最高裁ではまだ3人しかいない女性判事であることを主張し、司法界での女性の増加を求めた。ローザ氏は退官直前の26日に開催された全国法務審議会(CNJ)で、第2審の女性判事を増やす決定に署名している。
ローザ氏は2011年にジウマ大統領(当時)の指名で就任した。彼女は、2000年のエレン・グレイシ氏、2006年のカルメン・ルシア氏(在任中)に次ぐ3人目の最高裁判事で、定年まで務めた最初の女性判事でもあった。
28日はバローゾ長官の就任式が行われた。同長官は2013年にジウマ大統領の指名で最高裁判事となり、現在65歳。長官任期は2年間だが、最高裁判事の任期は10年間ある。副長官にはエジソン・ファキン判事が就いている。
バローゾ長官は就任挨拶で「民主主義は勝ったのだ」と語り、「この国は『自分たちと彼ら』で成り立っているのではない。私たちは同じ一つの国民だ」として、社会の平和化に努めることを明らかにした。
また、最近の審理で同性愛結婚や先住民の権利を最優先する決定が下されたことを例に挙げ、「少数派を保護し、民主主義を守ること」を抱負としてあげた。
同長官はさらに、審理に際してはマスコミの世論調査に流されないことを強調。「私たちの判断はそれを不満とする人々の批判にさらされているが、それも民主主義における人生のひとつ」と語った。
1月8日の襲撃事件にも触れ、三権の他の二権や社会との対話を強化するつもりであると述べた。また、国軍がクーデターに屈しなかったことを称賛した。
バローゾ長官は7月、「我々がボルソナロ主義を倒したのだ」と発言し、物議を醸していた。
他方、ローザ氏に代わる最高裁判事の行方も注目されている。現時点ではフラヴィオ・ジノ法相、連邦総弁護庁のジョルジェ・メシアス長官、国立会計検査委員(TCU)のブルーノ・ダンタス長官の3人が有力視されている。
28日のフォーリャ紙の報道では、ルーラ大統領はジノ氏を指名したいと考えており、法相の後任に女性を選ぶ意向だと、側近が認めているという。女性の法相はこれまで選ばれたことがない。
ルーラ氏がローザ判事の代わりに男性判事を選び、最高裁の女性判事の数を減らす可能性は既に知られ、批判や落胆の声の原因ともなっていた。