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パラー州=炭素クレジットで国際詐欺=法定アマゾンの公用地使い

2023年10月4日

詐欺グループに悪用されたポルタル市アナプ川沿いのリベイリーニャのコミュニティ(2日付G1サイトの記事の一部)
詐欺グループに悪用されたポルタル市アナプ川沿いのリベイリーニャのコミュニティ(2日付G1サイトの記事の一部)

 パラー州ポルタル市で、法定アマゾン内の公用地を私用地と偽り、大手多国籍企業に炭素クレジットを売りつけるという国際詐欺が起きていたことが判明したと2日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。

集団単位でしか出さないはずなのに個別発行されたCARを見せる男性(2日付G1サイトの記事の一部)
集団単位でしか出さないはずなのに個別発行されたCARを見せる男性(2日付G1サイトの記事の一部)

 炭素クレジット又はカーボンクレジットとは、企業が森林保護や植林、省エネルギー機器導入などで得た温室効果ガス削減効果(削減量・吸収量)をクレジット(排出権)として企業などと取引できるようにする仕組みだ。地球温暖化対策としての温室効果ガス排出量削減は世界的関心事で、独力での排出量削減が困難な国や企業が排出量を削減した国や企業から排出権を買い取る例は増えている。
 今回の例もその一つで、民間企業3社が州政府の認可を得ず、州公有地を私有地と偽り、温室効果ガスの排出量相殺を願う多国籍企業に排出権を売っていた。
 同州司法支援センターが指摘した不正には、プロジェクトの対象地域のコミュニティの領土や地域住民が事前に自由に相談できる権利の侵害も含まれる。
 炭素クレジット販売プロジェクトは三つで、対象地域は州農業採掘プロジェクト(PEAEX)に含まれる定住地5カ所と部分的に重複。川沿いコミュニティの住民(リベイリーニャ)は少なくとも1484家族いる。詐欺に使われた公有林の面積はサンパウロ市二つ分の3300平方キロに及ぶ。
 アナプ川とパカハ川周辺の指導者や住民によると、企業の代表者は非政府団体(NGO)と名乗るだけで、企業主や責任者の名前や炭素クレジット・プロジェクトであることは伏せていた。また、既存の自治会や組織とも協力しておらず、住民への恩恵は何もなかったという。
 透明性と明確さの欠如も顕著で、2017年頃から現れ始めた外国人達は、2020年頃からより頻繁に接触を行い、地域住民に土地所有権を示す書類のように見せかけて農村環境登録簿(CAR)の発行を提案。CARは環境情報提供のために農村部の不動産に義務付けられた自己宣言型電子公共登録簿で土地所有権文書とは異なるが、いずれの場合も代表者名や資金調達法、目的などは明らかにされていなかった。
 三つのプロジェクトは主要な国際認証機関のVerraによって2020~21年に登録され、温室効果ガス排出量相殺を願う企業に排出権を販売。購入企業はエールフランスやボーイング、ブラスケン、東芝、英国サムスン、製薬会社のバイエルや武田、英国のサッカーチームのリバプールなどだが、これらの企業は不正行為については知らなかったとコメントしていると報じられている。
 プロジェクトの一つのパカジャイーは21年に約140万件の排出権を販売。当時の炭素クレジットの世界平均価値は5・80米ドルだったから、810万米ドル以上を得たことになる。パカジャイーは少なくとも2015年から排出権を販売している。
 CARなどを使う国有林の不法開発や不法分譲(グリラージェン)は法定アマゾンの国有林伐採の過半数を占めることや2013~22年の森林伐採が113%増えたことは、アマゾン環境調査研究所(IPAM)も指摘しており、9月22日付の公式サイト(5)で報じている。


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