エルニーニョ=南北で正反対の異常気象=アマゾン干ばつ、南大雨

【既報関連】エクアドル沖の海水温上昇で起こる強力なエルニーニョ現象の影響で、伯国北部では例年以上に長く、厳しい干ばつ、南部では繰り返されるサイクロン発生と風水害という、真逆の影響が出ている。

北部の干ばつはエルニーニョ現象と大西洋の海水温上昇が重なって深刻化しており、被害はアクレやアマゾナス、ロライマ、ロンドニアを中心に拡大中だ。
3日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)によると、アマゾナス州では3日現在で23市が非常事態を宣言。平常通りと言えるのは2市のみで、残りの市にも警報や注意報が出ている。ウイルソン・リマ知事は9月29日の段階で、55市を非常事態に認定している。川の水位低下も顕著で、3日付アジェンシア・ブラジル(3)によると、ネグロ川流域では通学・通勤が困難となり、17日の筈だった学年暦終了を4日に前倒しした。9月30日付G1サイト(4)によると、例年より早く始まった干ばつは1月まで続く見込みで、飲用水や食料の入手が困難な人も多い。マデイラ川のサントアントニオ水力発電所では水不足による操業停止が起きており、4日付アジェンシア・ブラジルなど(5)(6)によると、アマゾナス州タフェ湖でのイルカの死体回収も続いている。
3、4日付アジェンシア・ブラジル(7)(8)によると、事態を重く見た連邦政府は4日朝、現地支援のため、ジェラルド・アルキミン副大統領と閣僚(マリーナ・シルヴァ環境相、ヴァルデス・ゴエス地域開発相、アレッシャンドレ・シルヴェイラ鉱山動力相、シルヴィオ・コスタ・フィーリョ港湾空港相、ジョゼ・ムシオ・モンテイロ国防相、ソニア・グアジャジャラ先住民族相)や、農務省、保健省などの局長らを派遣した。
視察団はアマゾナス州政府や地域リーダー、企業家、市民団体代表らとの会合と上空視察、被災者訪問などを行った。

連邦政府は、1・38億レアルを投じてソリモンエス川とマデイラ川の主要区間で浚渫工事を行うことや干ばつの間の漁師支援のための保険適用、干ばつで増えた森林火災対策としての消防士増員、同地域用の備蓄ディーゼル油放出などを発表した。
アマゾナス州政府も、飲用水を含む基礎食料品や個人用衛生キットの配布、債務の再交渉、農業生産者向けのプロモーションなどで、家族を支援する措置を講じている。
他方、南部ではエルニーニョがサイクロンや寒冷前線の発生を促進。3日付オ・グローボ・サイトなど(9)(10)(11)(12)(13)などによると、新たなサイクロンが発生したことで、南部3州では3~4日も、リオ・グランデ・ド・スル州を中心に雹や雷を伴う強風や強い雨が報告されている。サンタカタリーナ州では強風や12時間で100ミリ超の豪雨により、倒木や洪水、土砂崩れなどが起き、負傷者も出ている。