ガザ危機=在留ブラジル人の帰国開始=2人の死亡確認、1人は依然行方不明

【既報関連】イスラエルとパレスチナ自治区の一つであるガザ地区を中心とする危機で、イスラエル南部で開催されていた音楽フェスティバルの観客だったブラジル人3人が行方不明になり、その内の2人の死が確認された。他方、10日には空軍機によるイスラエル在住ブラジル人の帰国も始まった。10日付G1サイト(1)などが報じている。
行方不明と報じられていたのはラナーニ・グラゼルさん(24)、ブルーナ・ヴァレアーヌさん(23)、カルラ・ステルゼル・メンデスさん(41)の3人だ。3人はいずれも、ガザ地区との境界から5キロほどの距離で行われていたテクノ系ダンス音楽イベント「ウニヴェルソ・パラレロ」の観客だった。
ウニヴェルソ・パラレロは、パレスチナの武装集団ハマスがイスラエル襲撃の最初に標的にした大型イベントで、この襲撃で少なくとも260人が命を失ったと報じられていた。
この行方不明者の内、ラナーニさんが死が9日朝、確認された。外務省はまだその死を確認していないが、ラナーニさんの叔母が既に死を認めている。ラナーニさんはポルト・アレグレ出身。イスラエルとの二重国籍者で7年前からイスラエルに住んでいた。
7日は恋人のラファエラ・トレイストマンさん、友人のラファエル・ジマーマンさんとの3人でイベントに行っていた。襲撃の瞬間、3人は一旦避難所に隠れたが、その後に銃声が聞こえたため、他の場所に移動しようとした際、ラナーニさんの行方が分からなくなっていた。
また、10日には現地在住のブルーナさんの家族にイスラエル軍から遺体発見の知らせが入った。ブルーナさんはリオ出身で、8年前から母親と姉妹の一人と共にイスラエルで生活していた。7日は大勢の友人たちとウニヴェルソ・パラレロに出かけたが、それ以来、連絡が途絶えていた。リオ市に残っている姉妹のナタリアさんは、「たとえ誘拐されていたとしても生きていてほしい」と生存に望みを託していたが、遺体は半裸の状態で見つかった。誘拐されていたものと見られている。
もう一人の不明者のカルラさんはリオ出身だが、生活の基盤はイスラエルが長く、19歳の息子と生活していた。
一方、フォーリャ紙(2)によると、外務省はブラジル人救出のための飛行機をローマまで派遣し、イスラエルへの入国許可を待っていたが、第一陣はブラジリア時間の10日午前中にテルアビブ空港に到着。観光客ら211人を乗せた機は、14時12分(現地時間10日20時12分)にテルアビブを発った。この空軍機はブラジリア時間の11日未明にブラジルに到着する。
救出のための空軍機は10~14日に連日、現地を発つ予定で、12日に現地を発つ便以外は翌日の未明にブラジルに到着する見込みだ。連邦政府は今週中に900人の救出を見込んでいるが、必要があれば来週も便を飛ばすことを検討している。9日夜の時点では、帰国希望者は1700人ほどいると言われている。
また、ガザ地区に住むブラジル人26人については救出用のバスは準備済みで、同地区と境を接するエジプトからの入国許可を待っている。