脳卒中死が2年で11%増=格差貧困で世界的に急上昇

29日の「世界脳卒中デー」を前に、医学雑誌『ランセット』が、2050年の世界中の脳血管障害(AVC)による死者は約1千万人に達する可能性があると警告したと9日付UOLサイトなど(1)(2)(3)が報じた。
それによると、2020年のAVCによる死者は660万人だったが、2050年には970万人に達する上、医療や年金制度に23億米ドルの損失が発生し得るという。AVCには脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血などが含まれる。最も多いのは脳梗塞だ。
また、ブラジルを含む中・低所得の国での20年の死者は567万人で、死者全体の86%だったが、50年には883万に増え、91%に達するという。先進国での死者数は90万人で変動がない。
また、それに伴って発生する治療やリハビリなどの経費と死亡または後遺症によって生じる所得喪失を合わせた直接、間接の損失は、同期間中に8910億米ドル(4・5兆レアル)から2・3兆米ドル(11・8兆レアル)にと、倍以上に増えるという。
世界規模で見たAVCは死因の第2位で、青年層や55歳以下の中間年齢層での増加が目立つという。また、種々の機能を失う原因の第3位で、ボケを生じさせる主要要因の一つでもある。
研究者達は中・低所得国での増加の原因として、診断を受けていないかコントロールできていない高血圧患者が多いことや、質の高い医療サービスへのアクセスが困難、予防対策の不備、大気汚染や不健康な生活様式などを挙げている。
UOLサイト(1)によると、ブラジルの22年のAVCによる死者10・69万人は、10年前の10・02万人より6%増えた。10日付コレイオ・ブラジリエンセ(2)は、登記所の集計による22年のAVCによる死者は10万4486人で、20年より11・7%増えたと報じた。いずれにせよ、AVCはブラジルでの死因第1位だ。
AVCは発生後、早い時期に適切な処置をとらないと、死亡したり後遺症に苦しむことになる。後遺症の程度や内容は損傷した箇所や大きさによって異なり、運動障害や発語障害などの深刻な後遺症も残り得る。また、脳梗塞や脳内出血などが起きた原因が取り除かれないと再発も起こり得る。
AVCの主な原因は高血圧や糖尿病、高コレステロール、肥満、運動不足、不健康な食事、喫煙とされるが、サンパウロ市心臓病院の公式サイト(4)は、ブラジルには高血圧患者が3千万人いるが、正しい方法でコントロールしている患者は10%しかいないという、ロブソン・ファンチナト医師の言葉を掲載。予防対策や後遺症が残る患者のリハビリも含めた公的政策の整備や啓蒙は急務だ。