ガザ危機=18歳ブラジル人ハマスの人質に=7日に誘拐後、音信不通=ガザからの帰国も難航中

イスラム過激派のハマスがガザ地区に連行した、人質の中にブラジル人女性が含まれていることがわかっている。また、ガザ在住のブラジル人がエジプト経由で帰国を試みているが、ガザとエジプトの国境付近がイスラエルによる攻撃で危険なことやテロリストらの国外脱出や入国を懸念するイスラエルとエジプトの思惑などのため、国境通過が困難な状況が続いている。15日付G1サイト(1)(3)やコレイオ・ブラジリエンセ(2)が報じている。
誘拐が判明したのはセレステ・フィッシュベインさん(18)で、15日にイスラエル政府が、ハマスが誘拐した120人のリストに彼女の名前があることを確認し、発表した。
セレステさんはイスラエル生まれだが、両親は共にブラジル人で、ガザ地区にほど近い農村共同体(キブツ)で生活。祖母や叔父、母、兄なども近くに住んでいる。彼女は、学校で幼児の世話をするのを生業としていた。
セレステさんが行方不明となったのはハマスが襲撃を始めた7日で、キブツの中にいたのを目撃されたのを最後に音信が途絶えている。叔父のマリオさんによると、セレステさんとは7日午前11時20分に携帯電話で連絡があったのが最後だったという。また、彼女は恋人と一緒にいたとされているが、恋人の所在も現在までつかめていない。他の家族は襲撃開始から20時間後にイスラエル軍に救出されている。
その後、母親のグラディスさんはDNA検定を依頼し、ハマスの襲撃の犠牲者にセレステさんがいないかを調べたが、1300人ほどの死者の中にセレステさんと一致するデータは出てこなかった。
グラディスさんやマリオさんは15日放送のグローボ局の報道番組「ファンタスチコ」に現地から出演。マリオさんは「セレステの携帯電話がガザに存在していることだけは確認できている」と語っており、それがセレステさんが生きている証拠となるのか、セレステさんの手元にあるのかはわからないとしながらも、一縷の望みをつないでいる。グラディスさんも、セレステさんが生きて帰ってくることを信じているとの発言を行った。
セレステさんの祖母と母親はサンパウロ州グアランチゲター生まれのユダヤ系ブラジル人で、サンパウロ市ボン・レチロで生活した後、イスラエルに引越して生活している。親族の一人のフローラ・ローゼンバウムさんは、2001年に夫をエルサレムでの爆弾テロで亡くしている。
カルタ・カピタル(4)によると、他方、ブラジル政府が推進中の空軍機によるイスラエル在住のブラジル人救出作業は順調に進み、15日にブラジルに到着した人たちまでで、916人と24匹の動物が帰国した。連邦政府は14日に、15日から救出作戦の第2弾に入ると発表。当面は2便を飛ばす予定だが、南米諸国からも要請があり、追加もありそうな気配だ。
だが、カザ地区に住み、帰国を希望している22人のブラジル人に関しては帰国が難航している。連邦政府はブラジル人たちをエジプト経由で帰国させようとしているが、イスラエル政府やエジプト政府との交渉が難航し、国境通過の許可が下りていない。
アジェンシア・ブラジル(5)によると、
ルーラ大統領は14日にエジプトのエルシーシ大統領やパレスチナ自治政府のアッバース議長と電話で会談したが、具体的な決定はなされていない。