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ガザ危機=ブラジル和平案を安保理が却下=イランやトルコと首脳協議=PTはイスラエル批判声明

2023年10月19日

17日のルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)
17日のルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)

 18日、国連の安全保障理事会はブラジルの提案したイスラエルとパレスチナの武装集団ハマスとの和平案を採択するかの投票を行い、12カ国の賛同を得たが、拒否権のある米国が反対したため、却下された。他方、ルーラ大統領はイランやトルコの首脳と和平案について話し合った。17日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。

 国連安保理の議長国であるブラジルは、和平案の中でハマスの行為をテロと明言した上で、ハマス側による人質解放や人道支援活動の許可、イスラエル側がガザ地区北部の人たち約110万人に命じた南部への強制移動の命令の撤回などを求めている。
 安保理では16日も、ロシアからの和平案が15カ国中5カ国の賛同(4カ国が反対、6カ国が棄権)しか得られず、却下されている。ロシアはハマスの名を出さずに攻撃を批判し、直ちに停戦すると同時に人道回廊を開くこと、全てのテロ行為を断罪することを求めていた。
 ブラジルの和平案も続けて討議されるはずだったが、見直しのための時間を求める声が出て、投票が17日に延期された。だが、17日はガザ地区の病院攻撃などが起き、投票は18日に延期された。
 この投票では12カ国が賛成票を投じたが、常任理事国で拒否権を持つ米国が反対した。米国は予てからイスラエルとの関係が深く、イスラエル側の防衛権が認められていないとし、バイデン大統領の同国訪問の結果を待ちたいと語った。やはり常任理事国のロシアとイギリスは投票を棄権した。
 一方、アジェンシア・ブラジル(3)によると、ルーラ大統領は17日、イランのライシ大統領やトルコのエルドアン大統領と電話で会談を行っている。ライシ大統領とはハマスによる人質の解放と人道回廊の設置、さらにイスラエル側によるガザ北部地区の占領をやめさせることなどに関して、話を行った。
 ルーラ氏は、ガザ地区に取り残されたままのブラジル人、とりわけ女性や子供たちに対する不安も口にしている。ガザ地区のブラジル人たちは14日にエジプトとの国境に到着し、同国経由での帰国を待っているが、国境付近にも攻撃が及んでいることやテロリストも同国に入国する可能性があることなどから、エジプト側が国境を開放できずにいる。
 ルーラ氏はエルドアン大統領ともライシ大統領とほぼ同じ内容で話し合っているが、この時、「一般市民に危害を与えることは認められない」ことやガザへの平和部隊派遣で意見が一致したという。
 フォーリャ紙(4)によると、これに先立つ16日、ルーラ大統領の労働者党(PT)はガザ危機に対する声明を発表したが、イスラエル側に1400人の死者を出したハマスによるテロを批判しながらも、イスラエル側のパレスチナへの攻撃での死者は3千人に及んでいると判断。「正義と報復が混同されている」とし、さらに「人権問題に対しての道徳意識に欠けている」とイスラエル政府を批判した。
 これに対し、伯国のイスラエル大使館は、「テロリストの攻撃と私たちの防衛が一緒にされるのは遺憾だ」と反論。それに対し、PTは「報復の結果がガザ地区の市民に対するジェノサイド(大量殺戮)になってしまっている」と反論し返している。


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