ガザ危機=「やるだけのことやった」と外相=国連での和平案却下に関し=現地の南米国民らも救出へ

【既報関連】マウロ・ヴィエイラ外相は18日、上院の外交委員会に参加し、イスラエルとパレスチナの武装集団ハマスの間で生じたガザ危機に関するブラジルの和平案が国連安全保障理事会で否決されたことを嘆いた。また、それに先立つ記者会見では、イスラエルにいる他の南米諸国の国民も救出する意向を明らかにした。18日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
18日朝、ヴィエイラ外相はジョゼ・ムシオ国防相、マルセロ・カニッツ・ダマセーノ空軍司令官と共に記者会見に応じた。ヴィエイラ外相は、「残念ながら提案は承認されなかったが、敵意を捨てさせ、人的な犠牲を止め、現地にいる人の手助けをするべく、やるべきことはやったと思っている」と語った。
安保理の議長国であるブラジルは16日にロシアによる和平案が却下された後、各国の主張にも耳を傾け、慎重に和平案を練った。この案は、ハマスが7日に行ったイスラエル攻撃を「テロ」と見なしながらも、イスラエルやパレスチナ(ガザ地区)にいる人たちの安全や救出、人道支援に主眼を置いたものとなった。
その結果、投票ではアルバニア、中国、エクアドル、フランス、ガボン、ガーナ、日本、マルタ、モザンビーク、スイス、アラブ首長国連邦の賛同を得て12票を獲得したが、拒否権を持つ米国1国が反対したために承認されなかった。イギリスとロシアは棄権した。
リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国国連大使は「イスラエルの自衛権について触れていないことが残念だ」と、拒否した理由を述べた。米国は1948年のイスラエル建国で経済支援をして以来、同国と強い関係にある。同国の金融関係でユダヤ系が強いことは古くから知られている。
だが、米国が拒否権を行使した同日、米国では、ユダヤ系国民が停戦を求め、同国議会を占拠するデモも起きている。
外交委員会では、今回のブラジルの和平案に関し、野党側から「ハマスをテロ組織として認めなかった」と批判の声も上がったが、ヴィエイラ外相は、「そうした判断は国連の判断に委ねるのが古くからの慣例だ」とし、ブラジルの伝統的な立場に従い、対立している両方の側に立つべきだと語った。
同外相は国連などでのブラジルの立場を明らかにするために招かれており、今回の結果に関係なく、引き続き、人道回廊設置など、和平に向けた努力を行っていきたいと語っている。アジェンシア・ブラジル(2)によると、ブラジルは、21日からエジプトで行われるガザ危機の和平調停に向けた会議にも招待を受けている。
ヴェージャ誌(3)によると、ヴィエイラ外相は朝の会見でイスラエルでの救出作業にも触れており、ガザ地区にいる伯人のエジプトへの出国の目途はついていないとしつつ、19日未明に到着する第6便での219人を含む帰国者は1135人で、それ以外にもイスラエル国内とガザ地区とで150人ほどが救出を待っていると発言。救出作戦のために待機している航空機は3機で、ボリビアやパラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイの各国から計15人の救出も依頼されていると語っている。