サンパウロ州で紛失の機関銃リオへ=紛失確認の1月前に売買?

【既報関連】サンパウロ大都市圏バルエリの陸軍基地の兵器庫から盗まれた機関銃が、紛失確認の1月前にリオ州最大の犯罪組織に提供されていたことを示すビデオが見つかり、陸軍にも送られたと18日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
バルエリの兵器庫から盗まれたのは、航空機も撃墜できる「.50(ポント50)」と呼ばれる機関銃13丁と7・62口径の機関銃8丁だ。前者の射程距離は3キロだが、最大6765メートルまで届き、1分間に450~550発を連射できる。国内では現金輸送車や銀行を襲撃する事件で使われており、装甲車も貫く力がある。
リオ州市警が入手したとされているのは機関銃4丁を並べて撮ったビデオで、リオ市北部マンギーニョ複合スラムを取り仕切る麻薬密売者のウイリアム・デ・ソウザ・ゲデス(通称はコローラとショコッタ)に、ポント50を1丁18万レアルで提供するとの商談が持ち込まれたという。
コローラは同州最大の犯罪組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)の首領達の信用も得ており、2019年に起きた軍警のダニエル・エンリケ・マリオッチ氏殺害などで9件の逮捕令状が出ている。
コローラは商談を持ち込まれると、市場で自由に活動しているCV首領の最高位のウィルトン・カルロス・ラベリョ・キンタニーリャ(通称アベーリャ)と連絡を取ったとされているが、商談がまとまったかは市警が現在、追跡調査中だ。
だが、問題は商談がまとまったかだけではない。バルエリの兵器庫から機関銃が盗まれたのが判明したのは今月10日だが、商談が行われたのは9月7日の独立記念日の祝日直後だったからだ。
9日付G1サイトなど(5)(6)によると、リオ州では現在、5日未明にリオ市で起きたサンパウロ州在住の整形科医3人殺害事件を契機に始まったCV摘発のための「マレー作戦」が続いているが、機関銃を提供する話があった時期から考えると、作戦初日の9日に起きた軍警ヘリ2機襲撃に使われた機関銃や同作戦で押収された機関銃60丁の一部がサンパウロ州で盗まれたものである可能性も出てくる。
バルエリの陸軍基地では兵士ら480人を基地内に留め、機関銃紛失との関係や保管上の問題などの調査を行っているが、盗まれた機関銃21丁の総重量は500キロに及ぶことから、犯行は基地内の人がわずかだった9月7日に行われたか、時間をかけて数丁ずつ持ち出されたかと見られていた。
なお、18日付G1サイトなど(7)(8)によると、基地内に軟禁状態で調査を受けていた兵士中、320人は17日に軟禁を解かれ、帰宅したが、160人は今も基地内にいる。19日付フォーリャ紙(9)によると、軍警は銃持ち出しに関与した可能性のある人物を9月7日の当直3人に絞ったようだが、紛失発見が遅れたことに関し、兵器庫の管理責任者らの責任も問う意向だという。
警察や軍は盗まれた銃の所在解明や回収にも努めている。