アルゼンチン=マッサ優位で決選投票へ=予想外、ミレイ失速か=勝敗握るは3位候補票
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22日、アルゼンチンで大統領選の一次投票が行われ、当初の下馬評を覆し、与党政権の現財相のセルヒオ・マッサ氏が1位となり、予備選では勝利していた超リベラルで過激な主張が目立つ経済学者のハビエル・ミレイ氏と11月19日に決選投票同日付G1サイト(1)などが報じている。
大統領選の一次投票の結果は、マッサ氏が36・68%の得票で1位。ミレイ氏は29・98%で2位だった。3位は、三つ巴が予想されていた保守派候補のパトリシア・ブルリッチ氏で23・83%。4位は左派候補のフアン・シアレッティ氏で6・28%、5位は急進左派候補のミリアム・ブレグマン氏で2・70%だった。
同国の規定では、1位が45%以上の票を得るか、40%以上得票し、2位に10%ポイント以上の差をつけた場合以外は決選投票に進むことになる。
この結果は伯国を含む国外には驚きとともに受け止められた。8月の予備選で予想外の勝利を果たして以来、ミレイ氏の存在は国際的な話題となり、直後の人気が急上昇していたように見えていたためだ。メディアではしきりに、同氏の過激な主張やロック・コンサートさながらの政治集会の模様、チェーンソーを振り回すキャンペーンでのパフォーマンスなどを報じていた。
G1サイトなどでも、「過去20年間で決選投票が行われたのは2回のみで、1度は2位候補が棄権したため、実質1回だけ」と報じ、一次投票でミレイ氏勝利と予想していた。
また、オ・テンポ・サイト(2)が報じたように、同氏がルーラ大統領を「泥棒の共産主義者」と罵倒し、交渉の席につかないことを宣言していたことから、ミレイ氏が勝利した場合は、アルゼンチンのメルコスル離脱やBRICS加入の立ち消えをはじめ、2国間の貿易など、様々な懸念を予測する報道も相次いでいた。
また、ボルソナロ前大統領支持派の下議らは一次投票でのミレイ氏の勝利を確信してアルゼンチンに向かい、前大統領三男エドゥアルド下議は同国のニュース番組でミレイ氏の一次投票での勝利の予想まで行っていた。
だが、国内の直前の世論調査でミレイ氏は伸び悩み、アトラスインテル社の調査で本番同様の結果が出たことや、ブエノス・アイレス首都圏でのミレイ氏への反発の高さも報じられ始めていた。
CNNブラジル(3)によると、国際政治学を専門とするサンパウロ連邦大学のレジアネ・ブレッサン教授は、今回のミレイ氏の結果に関し、「中銀やペソ廃止などを訴える反面、雇用者と労働者の契約を容易にする公約を出すなど、政策に一貫性が感じられなかったからではないか」と見ている。
また、カルタ・カピタル(4)によると、アトラスインテル社のアンドレイ・ローマンCEOは、「ボルソナロ氏の支持表明でミレイ氏への投票を控えた人が出てきたのではないか」との見方を示している。
大統領選の決選投票は11月19日に行われる。ポデール360(5)が報じるように、票の行方はマウリシオ・マクリ前大統領の後継候補ブルリッチ氏に票を投じた人の意向にかかっているが、ブルリッチ氏は敗戦直後にマッサ氏や現政権を批判する発言を行う一方で、ミレイ氏への支援表明を避けている。決選投票で誰に票を投じるかの判断は各有権者に委ねられるようだ。