ルーラ=大統領府での職務復帰=リラ議長圧力、課題山積

ルーラ大統領は9月29日に受けた股関節と瞼の手術から3週間余の23日、大統領府での仕事に復帰する。ルーラ氏が解決すべき懸案事項リストには、連邦検察庁長官と最高裁判事の指名などが含まれている。また、連邦貯蓄銀行(カイシャ・エコノミカ)総裁や国立保健財団(Funasa)会長の任命など、復帰早々に様々な課題に追われることになると、22日付エスタード紙など(1)(2)が報じている。
アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は議員団とのインドと中国への12日間の外交日程を終え、23日から職場に戻った。リラ氏はカイシャのリタ・セラーノ総裁の後任に、キャリア官僚のカルロス・アントニオ・ヴィエイラ・フェルナンデス氏を推薦済みだが、ルーラ氏からの返答はまだない。
スポーツ相と港湾空港相を有する連立政党セントロンに進歩党(PP)と共和者(RP)が加わっての合意には、カイシャのトップ人事も含まれている。リラ氏によると、この合意は中道連合の政党が公的銀行の総裁職についても「秘密裏に」指名権を持つことを意味し、影響力は大きいとされる。
さらに、国立保健財団会長職を巡っても、社会民主党(PSD)、共和者(RP)、ウニオン・ブラジル間で激しい争いが続いている他、監督機関でのポスト争いも生じている。
ただ、イスラエルとハマス間の紛争などの国際問題や、前政権中に大統領府ブラジル情報庁(Abin)で起きたスパイ行為疑惑などの新たなスキャンダルも噴出しており、政府はこれらの問題を棚上げしている。新たな最高裁判事の指名すら遅れている。
最高裁判事の候補に挙げられているのは、フラビオ・ジノ法相、ジョルジ・メシアス連邦総弁護庁長官、ブルーノ・ダンタス国立会計検査院(TCU)長官だ。ルーラ氏は新しい最高裁判事や連邦検察庁長官の指名は急ぐ必要がないと述べ、検察庁長官候補の新たなリスト提出さえ求めている。
政府の煮え切らない態度に対し、連邦議会では重要審議をわざと遅らせて圧力をかけている。下院でのオフショア投資ファンドの課税法案審議や、スポーツ賭博に対する課税案も承認されていない。これが可決されないと歳入増のめどが立たず、政府の来年予算に暗い影を落とす。
フェルナンド・ハダジ財務相は、財政均衡法に基づく枠組み整備にかかわる法案審議が遅れていることを懸念。独立財政監査院(IFI)のマルクス・ペスタナ会長は、「歳出は既に確定しているが、歳入がまだ不透明だ」と述べた。
政府は来年の基礎的収支の赤字ゼロ化のために1680億レアルの歳入を得る必要がある。政府の経済フタッフは既に2024年初頭に歳出削減を行う可能性を検討しているが、労働者党(PT)の幹部や議員らは市長選や市議選が行われる選挙年の歳出削減に反対している。一例はロジェリオ・コレイア下議で、「赤字ゼロ化が困難なら目標を変更することになるだろう。重要な社会政策を削減するわけにはいかない」と述べた。
上院では26日にルーラ大統領が指名した高等裁判事候補者のサバチーナ(口頭試問)が予定されている。ルーラ氏は1カ月以上前にジョゼ・アフラニオ・ヴィレラ判事、テオドロ・サントス判事、ダニエラ・テイシェイラ弁護士を指名したが、憲政委員会のダビ・アルコルンブレ委員長が議題として取り上げなかった。口頭試問は午前10時に始まり、同日中に本会議にもかけられる予定と報じられている。