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民兵組織=バス35台と電車焼き討ち=リオ史上最悪の暴動で混乱=警察による首領殺害への抗議で

2023年10月25日

黒煙を上げて燃えるバス(23日付G1サイトの記事の一部)
黒煙を上げて燃えるバス(23日付G1サイトの記事の一部)
 リオ市西部で23日午後、同州最大のミリシア(犯罪者の民兵組織)がバス35台と電車を焼き討ちし、幹線道路の一つのブラジル大通りをバスによって封鎖するなどの暴挙に及び、大混乱が生じたと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じた。

23日に死亡し、暴挙の引き金となったミリシアNo.2のマテウス(Divulgacao)
23日に死亡し、暴挙の引き金となったミリシアNo.2のマテウス(Divulgacao)
 リオ市では同日、市西部サンタクルス区のトレス・ポンテスと呼ばれるコミュニティで警官隊とミリシアによる銃撃戦が起き、同州最大のミリシアの首領ルイス・アントニオ・ダ・シルヴァ・ブラガ(通称ジーニョ)の甥のマテウス・ダ・シルヴァ・レゼンデ(通称ファウストン、24)が死亡した。
 24日付カルタ・カピタル誌サイト(7)によれば、「ミリシア」とは元々、1980年代に麻薬密売組織と戦うために軍、民間、刑事警察、消防士などの治安機関によって結成された民間組織。警察などの国家権力が空白な貧困地区で犯罪を封じ込める一種の治安維持代行機関とみなされていたが、時間と共に、住民から非合法な警備料徴収や代替え交通手段提供などのビジネスを始めるようになり、犯罪組織化していった経緯がある。
 23日付G1サイトなど(8)(9)(10)によれば、マテウスは同ミリシアのNo.2で、現場で動く首領の中ではトップと目されていた。抗争相手の犯罪組織のメンバー20人を殺したとされ、9月には、2022年に起きたジョロニモ・ギマランエス元市議殺害事件を計画したとして他の容疑者5人と共に有罪判決を受けた。最近は州最大の犯罪組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)とミリシアとの関係強化にも努めていた。
 リオ市西部でのバスや電車の焼き討ちや大通り封鎖はマテウスが殺されたことへの報復で、市内バス20台と高速バス(BRT)5台、チャーターバスや観光バスが襲われた。
 報復行為が起きたのはカンポ・グランデ、グアラチバ、サンタクルス、パシエンシア、セペチバ、コスモス、レクレイオ、バラ、カンピーニョ、イニョアイーバの9区で、乗用車4台やタイヤへの放火も起きている。サンタクルス駅を出た電車の焼き討ちもサンタクルス区のタンクレード・ネヴェス駅の傍で発生した。
 23日付G1サイトなど(11)(12)によると、35台のバス焼き討ちは1日に起きた被害としては史上最多だという。焼き討ちによる被害額はバス本体だけで3500万レアルを超え、足を奪われた市民や商店などの被害は計算不能だ。
23日夜の記者会見でのカストロ知事(©Rafael Wallace/Gov.RJ)
23日夜の記者会見でのカストロ知事(©Rafael Wallace/Gov.RJ)
 同市は16時50分に5段階の第3段階である「注意レベル」を宣言。これは一つ以上の事件の影響が自治体や一部住民の日常生活に及んでいることを示す。当時の市内の渋滞58キロは、過去3回の月曜日の平均の29キロの倍だった。
 この騒ぎで45の市立校が授業停止となり、1万7251人の生徒が影響を受けた。私立校の中には生徒を帰らせず、保護者の迎えを待つところもあった。
 24日付G1サイトなど(13)(14)(15)によると、同市西部では24日朝もバスの残骸などが残り、前日の混乱の様子を伝えた。運行可能台数が減った市内バスはじめ、BRT、電車の運行にも影響が出たが、BRTは8時半には正常化した。市立校20校は午前中を休校とし、州立校も出席率が低かった。
 23日付G1サイトなど(16)(17)(18)(19)によると、クラウジオ・カストロ同州知事は23日、「我々は止まらない。犯罪組織の息の根を止めるための働きは日々、成果を上げている」との言葉で市警の働きを称賛。夜の会見では、バスや電車の焼き討ちに関与した容疑者12人を逮捕し、テロリストは連邦刑務所に送ると発言。州民を犯罪組織から解放する闘いは一体化して行われており、テロ行為発生の通告と共に路上や刑務所は警官の監視下に置かれたとも語った。
 また、マテウスの叔父のジーニョや別のミリシアの首領のタンデラ、CVの首領のアベーリャの名前を挙げ、三人を検挙するとも強調。同知事は、ブラジル最大の課題は治安で、全国を挙げた犯罪組織との闘いが必要と説いた。他州からの犯罪者が同州にいることやサンパウロ州で盗まれた武器や麻薬がリオ州で押収されたことは同州での問題は国全体の問題である証拠とし、犯罪組織は同州に限定されない全国規模のマフィアとも語ったが、具体的な治安強化策は語られていない。
 リオ州では最近、大麻輸送中のトラックを見つけた警官がトラックや麻薬を押収するどころか、エスコートして賄賂までもらったことなどが判明。同州では連邦政府の支援も得たCVやミリシア抑圧のためのマレー作戦と並行し、麻薬密売に関与した警官に関する捜査も行われているが、24日付G1サイト(20)によると、事件後の連邦政府の反応は連警や連邦道路警察による諜報活動の補強により犯罪組織の活動を抑制する意向表明に止まり、同州の治安に関する軍の介入は否定している。

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