デゾネラソン=17分野で27年まで延長=上院で承認、大統領裁可に=正社員890万人に恩恵

上院は25日、17部門の企業が従業員の社会保障費を国に納める際の優遇措置であるデゾネラソン(税軽減)を、4年間延長し、2027年12月まで有効とする法案を承認した。同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じている。
デゾネラソンは、企業が本来支払うべき従業員の給与総額の20%の社会保障費の代わりに、各企業の総収益に対し、部門毎に決められたパーセンテージ(職種によって1~4・5%)を支払うことで税負担を軽減、優遇される制度だ。
対象部門の代表が集まるモヴィメント・デゾネラ・ブラジルによると、この措置は、直接の正規雇用者だけで890万人、各企業の生産ネットワークから生じる数百万人の間接雇用者にも恩恵を与えているという。
法令延長で恩恵を受けるのは、工業部門が「皮革」「靴」「衣服」「繊維」「動物性蛋白質」「機械・設備」、サービス部門が「ITとIT通信」「コールセンター」「通信」、運輸部門が「陸上貨物輸送」「都市部の路上旅客輸送」「鉄道」、建設部門が「土木」「重建設」などとなっている。
デゾネラ・ブラジルによると、デゾネラソンの対象だった企業の正規雇用は2018年から22年に15・5%増えたのに対し、対象外の部門の企業では6・8%にとどまっていたという。また、もしデゾネラソンの対象となっていなかったら、17部門で計162万件の雇用創出がフイになり、労働者の平均給与も294レアル下がっていたとしている。また、17部門での雇用増がなければ、国立社会保障院(INSS)への納付額は2022年だけで132億レアル少なかったはずと主張している。
また、人口が15万人未満の小市は社会保障費の割り当てが20%から8%に減ることになり、3千市以上が恩恵を被るという。
この法案は6月に上院を通過し、8月には下院でも430票という圧倒的多数で承認された。ただ、下院で審議した際、「デゾネラソンで企業が払うパーセンテージを1%に定める」などの変更が加えられていた。
連邦政府は同件を税制改革案に盛り込むことを願っていたが、上院で24日に開かれた経済問題担当委員会(CAE)は、下院が加えた修正を全て、報告官のエフライム・フィーリョ上議(ウニオン)の提案した原案通りに戻した上で電撃承認。本会議でもそのまま承認されており、この形で大統領裁可に回される。
ルーラ大統領は同件に関し、「市が例外にならなければ拒否権を行使したい」との意向を語っていた。だが、上院は「大統領が拒否権を使えば、上院が再び却下する」との意向も表明している。