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ルーラ=イスラエル首相を批判=パレスチナ人死者の多さ疑問視=安保理の米国拒否権に不満

2023年10月31日

27日の朝食会でのルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)
27日の朝食会でのルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)

 ルーラ大統領は27日、イスラエルのネタニヤフ首相に関し、「ガザ地区を終わらせようとしている」と発言。パレスチナの武装集団ハマスに関しては、「10月7日の行為はテロ行為」としながらも、テロ集団と呼ぶことを避けた。27日付フォーリャ紙(1)などが報じている。

 この発言は27日朝、ルーラ大統領がジャーナリストとの朝食会で行ったものだ。大統領はこの時に、「ネタニヤフ首相は、ガザ地区はハマスの隠れ場所というだけではなく、子供や女性たちが生活しているということを忘れている。子供や女性たちは今回の戦争の大きな犠牲者だ」と語った。
 ルーラ氏は23日に行った恒例のライブでも、「罪のない人たちを大勢、犠牲にしている」と発言し、イスラエル政府を批判していた。
 29日付ポデール360(2)などは、ハマスが実権を握っているガザ地区保健省とカタールの報道機関のアルジャジラによると、イスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は8005人、イスラエル人の死者は1045人と報じている。パレスチナ人の死者8千人の半数近い3500人は子供だ。
 一方、ルーラ大統領はガザ危機が始まる契機となったハマスによるイスラエル攻撃は「テロ行為」と繰り返し批判しているが、ハマスが「テロ集団」との表現は今日まで使っていない。大統領は、「それを決めるのは国連であり、私としてはそれに従うだけだ」との見方をとっているためだ。
 ルーラ氏はさらに、国連安全保障理事会における米国など、5カ国の常任理事国による拒否権の行使に関し、「もう終わりにすべきだ」と不満を隠さなかった。それは19日の安保理でブラジルが提案した和平案を米国1国の拒否権のみで却下されたことを指している。「平和のことについて話し、15カ国中12カ国が賛成し、2カ国が投票を棄権した。そのような状況下で、どの国であれ、常任理事国が拒否権を使うことは許されるべきではない」と強い不満を示した。
 だが、そんな米国主導の和平案審議には強い違和感が生じ、だ25日には米国案に対し、中国とロシアが拒否権を行使。ルーラ氏の発言が行われた27日の午後には、ニューヨークで開催された国連総会の緊急会合でガザ地区の人道的休戦決議の投票が行われ、ヨルダンが提案した和平案にブラジルを含む120カ国が賛成票を投じた。反対は米国とイスラエルを含むわずか14カ国にとどまった。日本を含む45カ国は投票を棄権した。
 CNNブラジル(3)によると、30日には再び国連安保理が開催されるが、マウロ・ヴィエイラ外相はそれに先立つ28日にルーラ大統領と事前会合を行った。同外相は非常任理事国10カ国の意向をまとめ、新たな和平案の提案を行う意向であることを表明している。


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