site.title

基礎的収支=「来年の赤字ゼロ化困難」=ルーラ発言で市場揺れる

2023年10月31日

大統領と経済スタッフは経済政策上の合意を保っていると語るパジーリャ渉外室長官(©Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
大統領と経済スタッフは経済政策上の合意を保っていると語るパジーリャ渉外室長官(©Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 27日朝、ルーラ大統領が記者達との朝食会で2024年の基礎的収支赤字ゼロ化は困難と発言して物議を醸したが、労働者党(PT)党首のグレーシー・ホフマン下議は、大統領発言はハダジ財相を守るためと援護。ハダジ財相も、来年度の予算などは赤字ゼロ化を前提とした取り組みを進める意向を再確認した。
 27日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)によると、「24年の基礎的収支の赤字ゼロ化は困難」との発言は大統領府での朝食会で行われた。大統領は、「赤字ゼロという目標達成に向け、全力で取り組んでいる。だが、赤字はゼロである必要はない。年頭から国にとっての優先事項である何十億ものプロジェクト削減を強いるような財政目標を設定するつもりはない。市場はしばしば、達成できないとわかっている目報を要求し続けている」「ブラジルにとり、0・5~0・25%の赤字は何でもない」と語った。
 この発言は、財政均衡法の承認時に24年の基礎的収支の赤字ゼロ化を掲げ、目標達成のためには議会の協力が必要と主張した財相の言葉や努力を否定するものと評価された。
 24年度予算案の基礎的収支では、わずか28億4千万レアルの黒字が計上されるのみで、これは国内総生産(GDP)の0%にすぎない。それでも、達成には1280億レアルの歳入増が必要だ。連邦政府は支出抑制と税収増を図るため、税制上の優遇措置の削減や廃止、富裕者への課税やオフショア投資への課税などを盛り込んだ暫定令や法案を提出する一方、緑のエネルギー開発強化などを含む新経済活性化計画(PAC)の国内外での推進も図っている。
 だが、上院は上院政府リーダーが提出しようとした修正動議を阻み、17部門への税軽減措置の4年間延長を承認。税制改革案でも基準緩和を図るなど、税収増を困難にするような動きが続き、財相が大統領らと会談を開いた後に生じたのがルーラ発言だ。
 27日付アジェンシア・ブラジル(6)によると、この発言を財政目標達成放棄と見た市場では、為替が1ドル=5・01レアルになり、株価指数も1・29%下がった。
 28日付コレイオ・ブラジリエンセサイトなど(7)(8)によると、議会でも否定的な受け止め方が出たため、グレーシー下議は28日、ルーラ氏の発言は自分に責任を転嫁してハダジ氏を擁護するためと弁明。同氏は財相が赤字ゼロ化のために努力を重ねていることを称賛した後、「財相や経済スタッフだけの責任ではない」「目標が現実的である程、政治交渉は容易になる。大げさに騒ぎ立てずに、良くなるという希望を皆が維持すべき」と語った。
 30日付G1サイトなど(9)(10)によると、ハダジ氏は30日午前中の大統領、官房長官、予算企画相らとの会合後、大統領発言は財政均衡という目標へのコミットメントの欠けを意味しないとし、政府や州の数百億レアルの歳入損失をもたらした裁判所の判決に言及。赤字ゼロ化目標維持も明言した。アレッシャンドレ・パジーリャ渉外室長官も、大統領と経済スタッフは経済政策上の合意を保っており、31日には議会関係者や政党党首、経済、渉外担当閣僚の会合を開いて政府の優先課題について討議すると語った。


サンパウロ市市長選=アルキミンがPTと対立か=アマラル候補の支持表明で前の記事 サンパウロ市市長選=アルキミンがPTと対立か=アマラル候補の支持表明でルーラ=イスラエル首相を批判=パレスチナ人死者の多さ疑問視=安保理の米国拒否権に不満次の記事ルーラ=イスラエル首相を批判=パレスチナ人死者の多さ疑問視=安保理の米国拒否権に不満
Loading...