大統領自ら政局調整に=年末まで続く重要審議=経済法案が目白押し

ルーラ大統領は10月31日、大統領府で議会関係者や政党リーダー、経済や渉外担当閣僚たちとの会議を行った。今後は税制改革や予算案など、重要法案の審議が続くため、優先順位を決め、ムーズに審議を進めるためのアルチクラソン(政局調整)の一環だ。10月31日付フォーリャ紙(1)が報じている。
今回の会合は、ルーラ氏が連邦貯蓄銀行(CAIXA)総裁をリタ・セラーノ氏からアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)に近いカルロス・アントニオ・ヴィエイラ・フェルナンデス氏に交代させてから初めてのものだ。この人事が行われた時から、大統領によるアルチクラソン強化は予想されていた。
これはまた、ルーラ政権がアンドレ・フフカ・スポーツ相(PP)、シルヴィオ・コスタ・フィーリョ港湾空港相(共和者・RP)という、保守寄りのセントロン政党の閣僚を迎えてから初の会議でもあった。
ルーラ大統領としては、これから立て続けで行われる、経済関係の法案審議に備えたいところだ。年末までの課題には、税制改革、地方税の主要財源である商品流通サービス税(ICMS)改正法案、2024年の予算案の審議などがある。
特に、24年は財政均衡法(アルカボウソ)の中核となる「基礎的収支の赤字ゼロ」の目標年でもある。現在は、この目標達成は微妙と見る大統領発言があった後でもあり、来年度予算案はこの目標のままで行くのか、税収増には努めるが、連邦政府の一部で上がり始めている「0・5%のマイナスまでをよしとするか」で注目が集まっているところだ。
ルーラ氏は手術前から、回復したら会合を開き、議会との対話を保つ意向を表明していた。下院が税制改革案を承認した7月もリラ下院議長や政党リーダーを大統領府に招いており、来週以降はロドリゴ・パシェコ上院議長や上院の政党リーダーたちを迎えての会合も開かれる見込みだ。
側近たちによると、大統領がこのような会合を自ら行っているのは、アルチクラソン担当のアレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官の能力に不満を覚えているからではないという。
ただ、大統領は先週、連邦司法支援局(DPU)長官に指名し、上院憲政委員会のサバチーナ(口頭試問)でも十分な支持を得て就任待ちの状態だったイーゴル・ロッケ氏が、上院本会議で不承認となった後、「最後の確認の調整が足りなかった」と強い反省と不満の気持ちを抱いているという。
側近らによると、大統領はパシェコ上院議長との会合を念入りに行いたいと考えているという。それは、上院でこのところ、マルコ・テンポラルやデゾネラソン(特定部門への税の軽減)など、連邦政府に不都合な法案の審議や承認が立て続けに起きているためで、不穏になった上院との関係修復を願っているという。
また、大統領は年内にも、予てから懸案となっていた次期連邦検察庁長官と最高裁判事を決めたいと考えている。大統領が指名する役職でもとりわけ重要なこの二つも、上院のサバチーナと全体投票で就任の可否が決まるため、上院対策が必要となっている。