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バイア州=技術革新で小麦生産急拡大=近い将来国内需要満たすか

2023年11月1日

(イメージ映像、©Guilherme Oliveira/unsplash)
(イメージ映像、©Guilherme Oliveira/unsplash)

 高温で乾燥した気候にもかかわらず、セルトンで小麦生産が拡大しており、バイア州西部では、大豆やトウモロコシ、綿花を栽培していた土地で小麦栽培を始める農家が増えている。10月30日付フォーリャ紙サイト(1)が報じている。
 同州で初めて小麦が収穫された2015年の作付面積は3千ヘクタールだったが、バイア州農民灌漑協会(Aiba)によると、2022年は1万ヘクタールに拡大。7年間で235%の成長を遂げたことになる。
 バイア州における小麦の生産拡大と順調な発展は種子の遺伝子改良、機械化、栽培技術などの技術投資によるものだ。ジャルバス・ベルガマスチ氏が栽培する小麦は、マラニョン、トカンチンス、ピアウイ、バイアの4州にまたがり、80年代後半から農業が急拡大したマトピバ地域に属する州西部の気候に適応した完全灌漑栽培だ。
 同氏がトウモロコシに代わって小麦生産を決めたのは2016年。結果が上々だったため、生産継続を決意した。「小麦は害虫防除に役立つ管理ツールで、大豆やトウモロコシなど他の作物の生産性を高める。藁が密集しているため、雑草も生えにくい」と説明する。
 小麦は、中部のサバナ気候にみられる低木が茂る草原地帯のセラードでは一般的な害虫の線虫も駆除する。線虫は植物の栄養吸収能力に影響を与え、病気を引き起こし、根を傷つける。藁は水を吸収し、ろ過するため、浸食の抑制にも役立つのだという。
 同州の農産物生産企業、JCC社の生産責任者であるラウル・ヤコブセン氏は、「今年10月、3回目の小麦を収穫した。作付面積は460ヘクタールで、まだ十分な収穫とは言えない。現在の生産量は1ヘクタールあたり平均80袋だが、理想は100袋だと考えている。まだ学習過程にある」と述べた。
 高温気候という欠点は小麦の遺伝子改良によって克服されたが、同州には生産者にとってのメリットもある。生産者のレアンドロ・コン氏によれば、そのひとつは冬に雨や霜が降らないことだ。収穫期に雨が降ると、作物の品質や価格にも影響する。伯国南部の生産者が最も恐れていることだ。
 「だから、本来は寒冷地に適した作物の小麦がバイア州西部に適応している。これは伯農牧調査研究公社(Embrapa)や民間団体が注力した遺伝子改良が後押ししている」と同氏は言う。
 同州西部の標高755~1千メートル地帯の5〜8月の気温は摂氏10~15度程度と穏やかになることも、小麦栽培にとっての利点だ。
 Embrapaのジュリオ・セザール・アルブレチ研究員によると、セラードの小麦は他の地域の端境期に収穫されるため、より良い価格で販売することができるし、品質の良さも差別化につながる。「セラードでは、製パン用としては世界で最高品質の小麦が生産されている。遺伝学と気候条件が生産に有利に働いている」という。
 セラードでの小麦の作付面積は約30万ヘクタールだが、同地域は約400万ヘクタールの生産可能性を持っている。このレベルになれば国内需要を賄うための輸入サイクルは終わるだろうと、生産者らは口を揃える。
 今年の大きな課題は販売だった。コン氏によれば先物契約の選択はなく、「残念だが、予期せぬ生産コスト上昇への備えができておらず、対処することが難しかった」という。
 また、カビが引き起こす「いもち病」を予防する必要もある。「生産者毎に異なるが、生産コストは1ヘクタールあたり8300レアル(約25万円)に達した。多くの農家が記録的な豊作で、供給過多による価格下落も起きたという。「昨年の穀物価格は60キロ袋で140レアル(約4200円)だったが、今年は半値の70レアルだ」とベルガマスチ氏は説明した。


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