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サンパウロ市市長=長引く停電で批判集中=市長選候補から続々と=8日朝でも1万1千軒

2023年11月9日

停電現場でのヌーネス聖市市長(Edson Lopes Jr/Secom)
停電現場でのヌーネス聖市市長(Edson Lopes Jr/Secom)

 長期化する大サンパウロ市圏の停電を持ち出す形で、来年のサンパウロ市市長選の候補たちが続々とリカルド・ヌーネス市長(民主運動・MDB)に攻撃を仕掛けている。また、サンパウロ市も電力供給企業のEnelを訴える準備に入っている。7日付フォーリャ紙(1)などが報じている。

 Enelは停電から100時間が経過した7日夜、「まだ3万200世帯あまりの家庭で電気が復旧していない」ことを公表した。3日の大停電発生後、同社は、自社管轄の大サンパウロ市圏では210万世帯が被害を受けたとし、「完全修復には最悪で7日までかかる」としていた。
 Enelは8日朝も会見を行い、この時点で「残りは1万1千軒」と発表。同日中には作業を完成させると約束した。
 この停電の間に、来年のサンパウロ市長選の候補者たちは次々とヌーネス市長への批判を強めている。世論調査で1位のギリェルメ・ボウロス下議(社会主義自由党・PSOL)は、多くの市民が停電を体験していた先週末にヌーネス市長がF1のブラジルGPや総合格闘技のUFCを会場で観戦していたことを取り上げ、「特等席の王様」と呼んで批判した。
 ボウロス氏はさらに、「タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事は木の剪定に問題があるから市の問題とし、ヌーネス市長は事業契約の責任は州にあるなどとして、責任をなすりつけあっている」と批判。7日には同氏とつながりが深いホームレス労働者運動(MTST)のメンバーがEnel本社前で抗議活動を行っており、市長選での共闘を約束した労働者党(PT)のルナ・ザラッチニ聖市市議(労働者党・PT)は議会調査委員会開設を要請した。
 一方、ブラジル自由運動(MBL)のリーダーで、所属のウニオンを離党しての出馬を希望しているキム・カタギリ下議は、サンパウロ市の停電防止対策や計画性のなさを批判している。
 ボルソナロ前大統領の自由党(PL)からの出馬を希望している元環境相のリカルド・サレス下議は、「公的なサービスを阻害している汚職を根絶したい」と発言している。
 一方、世論調査で3位のタバタ・アマラル下議(ブラジル社会党・PSB)は、ヌーネス市長や市を直接批判することは避けたが、国家電力庁(Aneel)や鉱山動力省に情報の提供を求め、サンパウロ州エネルギー規制機関(Artesp)とプロコンに対して、広域停電で被害を受けた消費者たちの名前で苦情を申し立てている。
 ヌーネス市長はこうした批判に対し、「特等席の王様の方がテロリストの王様よりはいい」とボウロス氏に反論。「何もしていなかったわけではなく、常に策を講じ続けていた」と反論している。
 エザーメ・サイト(2)も報じているように、同市長はまた、6日にタルシジオ知事と行った会見で「電線を地下に埋める作業を進めたい」とした際、租税または寄付を意味するコントリビューションという言葉も出したことで、「新しい税金が課せられるのではないか」との疑問が市民から出ていることに対し、「そのための課税を行うことはない」と否定した。この税金の可能性に関してはサレス氏も批判していた。
 UOLサイト(3)によるとサンパウロ市は8日、Enelが7日までに停電の完全修復を行わなかったことに関し、「協約違反」として地裁に訴えることを宣言した。ヌーネス市長は6日にこれを示唆していた。


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