ポルトガル=「この豚」とブラジル人差別=移民増加で苛立つ国民
ポルトガルの空港でブラジル人女性が人種差別の被害に遭う映像が拡散され、問題となっている。7日付エスタード紙(1)やG1サイト(2)、フォーリャ紙(3)が報じている。
これはは6日、ポルトガルのポルト国際空港で撮影されたものだ。映像は被害に遭った35歳の女性(名前非公表)によって撮影されたもので、彼女がポルトガルの新聞「ガゼッタ・ブラガンチーナ」に明かしたことで広がった。
被害者によると、彼女はサンパウロ市生まれだがサンパウロ州ブラガンサ・パウリスタで育ったというブラジル人で、週末をポルトガルで過ごし、現在の職場であり、国籍も持っているスペインのバルセロナに戻るためにポルトの空港にいたという。問題の場面はエスカレーターを降りていた時、加害者の友人のトランクが倒れてぶつかったため、「痛い!」と叫んだところ、加害者が、「痛い? それはあんたの問題でしょ」と捨て台詞を吐いた上、「この豚」と罵倒。
被害者が撮影していたことについても「撮りたければ撮れば。ネットにあげたっていいわ」「私は生粋のポルトガル人よ」と語った後、「自分の国へ帰れ」「ポルトガルに侵入してくるな」などと中傷している。
この映像はブラジルでも広がり、すぐに話題となった。これを見たフラヴィオ・ジノ法相は「言論の自由にも限度がある」として、ポルトガル人女性の発言を批判した上で、「ポルトガル人は1500年代にブラジルに侵入した。そのお返しをするのに何が問題がある」と女性の発言を皮肉っている。
この問題の背景にはポルトガルでブラジルからの移民が増加していることがある。2022年の場合、ブラジル人は同国への移民の約30%を占め、合法的移民の数23万0744人は21年と比べて17%増えている。それに伴い、ポルトガル人による伯人差別の報告も21~22年に505%増えているという。