アルゼンチン大統領選=決選投票まであと1週間=ミレイとマッサ、討論会で激突

大統領選の決選投票を1週間後に控えたアルゼンチンで12日、超リベラル派の大統領候補のハビエル・ミレイ氏と現政権候補のセルヒオ・マッサ氏が討論会を行った。ミレイ氏はそこで、予てから主張している「ブラジルとの関係を持たない」の意味を説明し、貿易を止めるわけではない、などの発言を行った。12日付UOLサイト(1)やヴェージャ誌(2)などが報じている。
ブラジルとして最も注目されたのは、ブラジルとの関係においての発言だった。マッサ氏はミレイ氏がキャンペーン中に繰り返して使った「ブラジルや中国とは関係を持たない」という公約に触れ、「南米で最も大きな二国間の関係を絶つことは、国内総生産や雇用に多大なマイナスをもたらす」と語り、「外交問題を気まぐれに考えるものではない」と批判した。ミレイ氏はルーラ氏を「汚れた共産主義者」と呼び捨てている。
ミレイ氏はそれに対し、「(現職の)フェルナンデス大統領もブラジルのボルソナロ前大統領とは関係を持とうとしなかったではないか」と反論。「メルコスルも出口のない行き詰まり状況ではないか」と批判した。
ミレイ氏は「私があたかもブラジルや中国と国交を断絶するかのように言う人がいるがそれは誤解だ」と語り、政府同士で近づかないということで、民間が主体の貿易を止めるわけではないと説明した。
また、この討論でマッサ氏はミレイ氏を挑発するように、中銀廃止やペソのドル化などに関して、「彼が何をやろうとしているかグーグルで検索していただきたい」と視聴者に語りかけた。ミレイ氏はそれに対し、「ブラジル人が編集したのではない私の映像をぜひ見てもらいたい」と皮肉った。これはルーラ氏の労働者党(PT)のキャンペーン・スタッフがマッサ氏の選挙を援助していることを批判したものだ。
ミレイ氏は毎度、物議を醸す発言で話題をさらっているが、1982年のマルヴィナス戦争(フォークランド紛争)で敵国となったイギリスのサッチャー首相(当時)に関して、「世界の歴史が誇る偉大なリーダーの一人」との発言を行った。ミレイ氏は既に、サッカー選手のマラドーナやフランシスコ法王など、同国で人気のある人物を批判してもいる。
現在、同国の大統領選の世論調査は両人共に勝利を予想する世論調査が存在するほど接戦となっている。最後の公開討論会で、深刻な経済危機の責任を責められるのを阻止したことでマッサ氏は勝利を収めた一方、ミレイ氏は感情的になって怒鳴り散らす醜態を晒さずに冷静な語り口で最後まで通したことで、「生ぬるい討論会になった」とCBNラジオは報じた。