荒廃牧草地=4千万ha土壌改良計画=1200億ドルの大構想

カルロス・ファヴァロ農務相が大統領府で開催された第6回ブラジル投資フォーラム2023で、ルーラ大統領が22日に大統領府でのイベントで、荒廃した牧草地の土壌改良と耕地化計画を打ち上げると語ったと10日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
連邦政府は、10~15年間で最大4千万ヘクタール(ha)の牧草地を再生する意向だ。同相は「荒廃した牧草地の土壌を改良して4千万haを農業生産に適した耕作地にする予定」で、「人の手を加えても本来望み得る収穫をあげられていない良好なプロフィールを持つ地域を使う」と述べた。
荒廃した牧草地の編入に必要な投資については、設備や倉庫、機械の平均投資コストを3千米ドル/haとしても1200億米ドルが必要と説明。同計画の加速化と機会創設には民間ファンドの参加も大切とも説いた。
同相によると、連邦政府の役割は、中小生産者に資金を提供し、アグロビジネスに影響力を持つ社会経済開発銀行(BNDES)やブラジル銀行を通じて融資の機会を提供することだが、民間銀行からの融資も受け入れるとも語った。
また、22日のイベントでは、具体的な規制や農業における優良慣行の制度性、炭素市場における認証や優良事例などについて語る予定だとも述べた。
ブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)によると、国内の牧草地約1億6千万ha中、5800万haは耕作に適した良好な状態、6600万haは中間的な状態、3500万haは深刻な劣化状態だという。同公社は2010年に打ち上げた低炭素の農業生産ABC計画の中で、牧草地の回復や転換にも取り組んでいる。
土地の劣化は人間の活動と自然の影響で起こる。ブラジルは熱帯気候で激しい雨が降る地域がある上、人間が不注意かつ不適切な方法で管理していると劣化が進むが、傾斜に応じた侵食のように地形や地勢的な条件もある。
牧草地の回復は森林再植や農業生産、牧畜への利用にも役立つ。牧草地の回復で質の高い牧草がより速く成長すれば、より多くの家畜が放牧できるし、肥育期間が短縮されればhaあたりの肉の生産量が増え、生産性が向上するため、森林伐採も不要となる。
ルーラ大統領はこの計画を12月1~2日にドバイで開催される第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)に先立って打ち上げる。ブラジルからは連邦政府や州政府、連邦議会や州議会、市民団体や民間企業など、約1500人の代表団が参加する予定だ。連邦政府からは大統領、農務相、財務相、環境相、農地開発・家族農相、外務相、保健相、鉱山動力相、都市相らが参加する。