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チクングニヤ熱のワクチン=接種者の98・8%に免疫

2023年11月17日

ラボラトリーでの検査の様子(©Robson Valaverde/SES-SC)
ラボラトリーでの検査の様子(©Robson Valaverde/SES-SC)

 サンパウロ市のブタンタン研究所がフランスとオーストリアのバイオテクノロジー企業ヴァルネバと開発したチクングニヤ熱ワクチンの臨床試験は第3フェーズに入っており、ブラジルでの臨床試験では参加者の98・8%に免疫反応が見られた。また、チクングニヤ熱への罹患暦には関係なく、安全性においても良好なプロファイルを示したと13日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
 安全性と免疫原性に関する情報は、ブラジルの国家衛生監督庁(Anvisa)や欧州の欧州医薬品庁(EMA)に製品の承認を求める基礎となる。ブタンタン研究所などでは、2024年上半期に承認申請を行う予定だ。
 このワクチンは先週、米国の規制当局である食品医薬品局(FDA)により、成人向けに承認されており、チクングニヤ熱に対する世界初の認可予防接種ワクチンとなっている。
 ブタンタン研究所のエスペル・カラス所長は発表に際し、「安全で高い防御抗体を誘導する能力を持つワクチンだ。開発は全ての研究段階と規制当局による検証を尊重して行われており、国に害を与えている病気から国民を守るためにこのワクチンを提供できると肯定的に考えている」という声明を出している。
 ブラジルでの臨床試験は、サンパウロ市、サンジョゼ・ド・リオ・プレット市(サンパウロ州)、サルバドール市(バイア州)、フォルタレーザ市(セアラ―州)、べロ・オリゾンテ市(ミナス・ジェライス州)、ラランジェイラス市(セルジッペ州)、レシフェ市(ペルナンブコ州)、カンポ・グランデ市(マット・グロッソ・ド・スル州)、ボア・ヴィスタ市(ロライマ州)在住の12~17歳の青少年750人の参加を得て行われた。参加者500人にはワクチン、250人には偽薬が使用された。
 免疫の有無の判定は接種から29日後に行われ、チクングニヤ熱への罹患暦がない被験者の98・8%に免疫が生じていることが確認された上、罹患暦のある人では全員に免疫ができていた。また、ブラジルでの試験では安全性に対する懸念を生じさせる報告は一例もなかった。
 チクングニヤ熱に対する弱毒化ウイルスワクチン候補(VLA553)は、2020年に両者間で締結された技術移転協定の成果だ。
 副作用の大半は軽度から中程度で、約3日以内に解消された。最も一般的な影響は注射部位の痛みと過敏症、頭痛、体の痛み、発熱、疲労感だった。
 チクングニヤ熱は世界110カ国以上で流行している。ブラジルでは2023年だけで疑似症例が14万3739人報告されている。発生率が最も高いのは南東部で、北東部、中西部と続く。今年の死者は82人で、73・2%は併存疾患を抱えていた。
 2021年から22年にかけての症例は100%増加。チクングニヤ熱はネッタイシマカとヒトスジシマカが媒介する病気で、出産時に感染した新生児や併存疾患のある高齢者には重篤な合併症を引き起こす上、関節に重度の慢性痛が残る可能性がある。


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