ルーラ=検察庁長官にゴネ氏指名か?=最高裁判事はメシアス氏有利とも=背景に最高裁の2判事の存在

9月以来空席となっている連邦検察庁長官にパウロ・ゴネ・ブランコ氏が選ばれる可能性が浮上しており、それに伴い、新最高裁判事にはメシアス氏が指名される可能性が高まったと報じられている。
連邦検察庁ではアウグスト・アラス前長官、最高裁ではローザ・ウェベル前長官が、共に9月に退官。以来、2カ月あまりが過ぎたが、ルーラ大統領は指名を先延ばしし続けている。
だが、ここに来てようやく動きが見え始めている。フォーリャ紙(1)などは16日付で、ルーラ大統領が側近に対してパウロ・ゴネ氏を次期検察庁長官に指名したいとの意向を示したと報じた。同件に関する会議は今週行われており、大統領が来週にも指名したいと語ったという。
ゴネ氏は検察庁副長官の一人で、最高裁のジウマール・メンデス判事とアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が推奨する人物だ。最高裁との結びつきを強めたいルーラ氏もゴネ氏を推薦したいと考えていたが、労働者党(PT)が、別の副長官のアントニオ・ビゴーニャ氏を推していた。
その背景には、PT党首のグレイシ・ホフマン氏の反対があった。2016年にグレイシ氏と元夫で第1、第2期ルーラ政権、第1期ジウマ政権の閣僚だったパウロ・ベルナルド氏がラヴァ・ジャット作戦で汚職疑惑の対象となった時、最高裁第2小法廷に二人の捜査を行うよう勧めたのがゴネ氏だった。捜査自体は2年後に打ち切られたが、ゴネ氏に対するグレイシ氏の印象は良くなかった。
ルーラ氏は9月以降、ゴネ氏、ビゴーニャ氏、さらにもう3人の候補と会談を行ってきたが、この時点で、「ゴネ氏かビゴーニャ氏にしたい」と漏らしていたという。
また、G1サイト(2)やCNNブラジル(3)によると、仮にゴネ氏が検察庁長官という線で固まったなら、最高裁判事にはジョルジェ・メシアス氏が就任しやすくなると、PTの側近は見ているという。
メシアス氏は現在、連邦総弁護庁(AGU)長官を務めている。現時点で最高裁判事の座を争っているのは、同氏とフラヴィオ・ジノ法相、ブルーノ・ダンタス国立会計検査院(TCU)長官とされている。
当初は、3人の中ではジノ法相が有利とされていたが、問題はジノ氏もゴネ氏同様、メンデス、モラエス両判事が希望していることだ。
ボルソナロ前大統領の支持者にとり、メンデス、モラエス両判事は敵対関係にあり、ジノ法相も三権中枢施設襲撃事件での指揮で、ボルソナロ派の襲撃者に厳しい態度を取り、反感を高めている。
PTの側近らは、ゴネ氏に続いてジノ氏が最高裁判事に指名された場合、ボルソナロ派の議員の反感が高まり、上院でのサバチーナ(口頭試問)でジノ氏が却下される可能性が高まると考えている。
また、ジノ氏が法相から去った場合の後任が見当たらず、治安対策が弱体化することを恐れる声もあるという。