パンタナル=火と煙の回廊を走る車=2州が非常事態を宣言

パンタナルでの森林火災が一向に収まらず、14日夜起きた火災では、マット・グロッソ・ド・スル州コルンバ市ブラッコ・ダス・ピラニャス地区の国道262号線が火と煙に包まれた回廊と化したと同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。

16日付エスタード紙(3)によると、マット・グロッソ州ポコネ市でも15日以降、パンタナルを縦断し、農園や宿泊施設などへのアクセスに不可欠なトランスパンタネイラ道の両側で火が燃え広がり、クイアバ川沿いのポルト・ジョフレ地区中心に拡大した火を消すため、消防や農園の消防士、ボランティアらが地上と空、川からの消火活動を続けている。同道は土道で、木造の橋に火が及べば橋が燃え落ちる可能性もある。被災した宿泊施設の中には、絶滅危惧種のジャガー観察のための戦略拠点となっている旅館も含まれている。
15日付アジェンシア・ブラジルなど(4)によると、マット・グロッソ州州とマット・グロッソ・ド・スル州は14日、パンタナル北部での火災に伴う非常事態を宣言。両州は連邦防災局の支援や、消火活動や被災市復興などへの国の資金が受けられるようになる。
マット・グロッソ州クイアバで国と州の機関による火災対策の指揮を執っているロドリゴ・アゴスチーニョ国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)院長は、今年の火災は2020年より小規模だが、共同作業が不可欠と強調。連邦政府による焼き畑禁止期間は11月30日までだが、マット・グロッソ州は60日間の非常事態宣言で火災抑制を前進させる意向。同州での火災はパンタナル国立公園やドルシェ私有自然遺産保護区、リオ・ネグロとエンコントロ・ダス・アグアスの両州立公園、民間所有地を中心に起きており、マット・グロッソ・ド・スル州北部に至る可能性がある。
現在の火災は10月21日の落雷が発端だ。同州では1月に火災予防対策を導入し、5月にはパンタナル統合火災管理計画を開始。7月にには生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)も消防士や小型機を派遣し、対策を強化している。
他方、マット・グロッソ・ド・スル州の非常事態宣言は90日間で、コルンバーやラダリオ、ミランダなど、火災の影響がより顕著な5市が対象。1月~11月12日のデータによると、同州ではセラードの火災が8・7%減ったが、パンタナルでの火災は95・8%増加。高温や異常乾燥は同州でも頭痛の種で、大規模火災が起き易い。
リオ連邦大学(UFRJ)環境衛星応用研究室(Lasa)によると、今年のパンタナルの焼失面積は全体の7%相当の95万ヘクタールで、昨年同期の31・6万ヘクタールの3倍以上だ。17日付ブラジル247サイトなど(5)(6)(7)によると、11月の火災件数は2300件で、連日の火災に消火体制が強化されているが、干ばつや高温、強風などのため、鎮火に1週間以上かかる例もあるという。また、中西部での森林火災の影響は南部や南東部でも確認されている。