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最高裁=上院のPEC審議に猛烈抗議=判事の単独判断への制限で=「不可侵領域なし」と議長反論

2023年11月25日

バローゾ長官(Carlos Moura/SCO/STF)
バローゾ長官(Carlos Moura/SCO/STF)

 【既報関連】22日に上院が判事の単独判断の効力を制限する憲法改正法案(PEC)を承認したことに関し、最高裁がこれを司法への報復的攻撃とみなし、強く反論している。23日付CNNブラジル(1)(4)、カルタ・カピタル(2)、UOLサイト(3)などが報じている。

 22日に承認されたPECは、裁判所の判事が単独で下す判断では議会が承認した法律や大統領や上下両院議長に関連する条例や法令などを禁ずることができないとするものだ。
 同PECの適用対象は最高裁だけでなく、1審から4審までの全ての裁判所としているが、上院は予てから、先住民居住地の制定は現行憲法発効の期日に基づいて行うことを定めたマルコ・テンポラル法や、薬物所持の刑罰化法案に関し、最高裁が意にそぐわない審理結果を出したことを不服としており、最高裁判事の任期を短縮する法案審議を行おうともしていた。
 他方、この上院でのPEC承認に対して、最高裁内から不満の声が上がっている。最高裁での在籍年数最長のジウマール・メンデス判事は、「2020年に一度却下された法案を、墓場から死者を蘇らせるように掘り起こしてきた」と批判。その上で「最高裁は臆病者の集まりではない」と強い不満を示し、「このような威嚇行為に最高裁は屈しない」と発言した。
 アレッシャンドレ・デ・モラエス判事もメンデス判事同様、「最高裁は臆病ではない」との言葉を繰り返し、「機関としての独立性は尊重されなければならない」と主張。さらに、判事の単独判断に関しては、「パンデミックや三権中枢施設襲撃事件など、緊急を要す事態には間違いなく必要」だとし、「単独での判断というが、法廷内の意向を代表して行っているものでもある」と、その意義を主張している。
 ロベルト・バローゾ長官も、「最高裁が、政治を都合よく進めようとする人たちの犠牲になっている」「そのために、変更する理由さえないものが変えられている」との表現で批判を行っている。
 同長官は昨今の否定主義(ネガショニズモ)で、その傾向が顕著になっていることを指摘。「我々の決定に関して政界や社会が時に強い反感を抱くのは避けられないこと。それだけ、繊細な問題を扱っているのだから」としながらも、「だが、憲法を預かり、しかるべき判断を行うのは司法の役目だ」と釘を刺している。
 これらの最高裁からの批判に対し、ロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)は彼らの反応は「攻撃的」とし、「今回のPECに威嚇や報復などの政治的な意図はない」とし、「あくまで憲法をよりよく遂行するためのものに過ぎない」とした。
 同議長はさらに「アンタッチャブルな機関は存在しない」と発言し、最高裁であっても審議の対象となりうると主張した。
 最高裁は、同PECが上院を通過する理由ともなった上院連邦政府リーダーのジャッケス・ヴァギネル上議(労働者党・PT)の投じた賛成票を問題視している。これに関してはグレイシ・ホフマンPT党首も「過ちだ」と不満を示しているが、ヴァギネル氏は「司法界を攻撃するつもりはない」「完全に個人的な判断」と語っている。


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